Existential Psychotherapy
こういうのはやはり依然として
背景の知識が必要だし
それ自体精密に読むとすれば難しいと思う
知的アクロバットに近いのではないか
一人の人間から見て世界がどう見えているかについて
十分な理由がある
その見え方に関して何か言うとしても
言う側も一つの世界の見方をしているに過ぎない
脳が二つあるだけだ
それなのに何か言ったり
それを聞いたり
時には依存したりするのは
やはりいろいろと事情がある
非常に簡単にいえば
つまりはどちらに味方が多いかというだけに過ぎないような気もする
ーーー
見方がどれだけいるかという認知についても
結局主観的なものなので
どうしようもない
やはり脳が二つあるだけである
ランナー・グッズ
まずシューズに関しては、必ず信頼できるショップに出向いて、信頼できる店員さんに使用目的を正確に伝えて選んでもらいましょう。この際「あ、この店員さんはダメだな」と思ったら迷わず他の人に代わってもらうか店を出るかするべきです(どことは言いませんが、実は今回もニューバランスへ行く前に他の店へも行っているのです)。全ての店員さんが高い知識と意識を持ったプロであるかどうかは分からないからです。このあたりはうんとシビアになるべきです。“長く話しちゃったから”、“何足も出してもらったから”なんて情けは無用です。後で痛い思いをするのは自分自身だからです。
とのことで
自分の両足をそれぞれ測定してもらい
ぴったりのランニングシューズを作ってもらうのだそうだ
Garminの「Forerunner110」というのがあって
腕時計型をしていて
心拍数を測定してくれて
しかもGPSが付いていて位置を測定できて
本来時計なので時間が正確
すると走った距離とか速度とかその時の心拍数とかが分かる
高感度GPS機能により、時間、正確な速度、距離、ペースデータ、消費カロリーおよび心拍数を記録することができます。と書いてある。
http://store.shopping.yahoo.co.jp/pchome/forerunner110.html
円高メリットで18800円
直で買わないと3万円だそうだ。
台風避難指示勧告20110921
2011年3月11日金曜日2時46分、東日本大地震、津波、
原発事故、放射線問題、
暑い夏
台風が来て四国などで大きな被害
2011年9月21日水曜日台風による強風と大雨が東京を襲う
2時くらいに浜松市を通過、その後関東を通って東北へ
東京の会社では3時くらいに社内の規定を満たしたので社員を早く帰したのだが
すでに電車は止まっていて駅で待つか、会社に戻って仕事をするかしていたという
小学校は決定が早かったようで
子供たちは家に帰ることができたようだ
帰宅ラッシュの時間に電車動かず
渋谷駅でバスやタクシーを待つ人々の行列がテレビに映っている
夜8時を過ぎても
山手線も動かず
9時を過ぎて山手線だけ動いている
京急、京浜東北など動かず
品川駅では人々が溢れ
床に座り込んで待つ人も見える
京急の改札の前に行列、階段まで続いていてみんな立って整列して待っている
和歌山とか奈良で土砂ダムから水が流れ出しているとか
隅田川で歩道に水が溢れている映像など
ーーー
品川駅は夜は港南口から改札に向けての流れになるのだが
この夜は通路の半分が改札から港南口に向けての流れになっている
それを見ただけで、もう改札に向かっても無駄だと判断できたのだけれども
それでも改札に行って確認したいもののようだ
地震の時の経験があったので
帰宅難民は「歩くしかないな」とか言いあっている
一年のうちに二度目の帰宅難民
夢
田舎の古い家で暗い風呂
とても広い
床から妙な具合にお湯が出て
窪みにたまるのだが
そこに何やら生き物
一日目はそれでもまあまあだったが
二日目には何かいるなと思って手で払いのけると
はっきりは見ていないのだけれども
さそりのようなもの
まあこの家ならそうだろうなと思って
あきらめて体を洗う
考えられない豪胆さ
部屋に帰ると
ラジオで何か言っている消したいと思ったのでスイッチを切る
しかし音が聞こえる
ラジオがたくさんあって
どのラジオからも同じ放送が流れていて
それぞれのラジオのスイッチを探して切る
何か昔使っていたいくつものラジオに似ている感じもある
時間になってラジオ体操の時間になる
アジア人がそれぞれの風味で
体操していて面白い
信頼のイニシアチブ
信頼のイニシアチブ
どうしてこう人を信頼したいものなのかよく分からないが
全面的に信頼してみたい
とりあえずこちらから信頼してみたい
私としてはそれがやはり自分の流儀だと思う
信頼して理想を築く
信頼したほうがやりやすい
推進力が出る
理想を実現するのも大事だけれど
不信と予防ばかりでいきていても楽しくないだろう
信頼を逆手にとって
踏みにじられるようだと
穏やかではないけれども
そんなことで
生き方の主義は曲げない
たまには例外もあるが
人間はいいものだと信じている
いろいろな治療といろいろな患者さんたち
精神療法にもいろいろあるし
精神療法の原理と実際を考えると
原理としては一つの流派で共通としても
実際にはいろいろな応用があって
余程の原理主義者でない限り自分流になるが
それが悪い自分流もあるし良い自分流もある
それを吟味することはなかなかむつかしい
患者さんの側でどのコースで治りたいのかという希望もあるはずだ
基本的にその人の生きてきた過程があるわけだし
現在生きている環境内でのネットワークもあるわけだし
その考えのままでいいのか
その考えを訂正する必要があるのか
そこもなかなかむつかしい
コトバは感情よりも先
10センチの方眼と1センチの方眼
人間が物事を把握するとして
10センチの方眼で捉えるのか
1センチの方眼で捉えるのかは
ずいぶんと違う
10センチの方眼にいいところもあるので
場合によっては
そちらを選択する
どうすれば
細かい方眼でモノを考えることができるのかといえば
やはり語彙数なのだと思うし
語彙を組み合わせて限定していく細かさだと思う
結局良く観察することなのだけれど
よく観察するにはあらかじめ細かい方眼がないと出来ないという
パラドックスがある
物の見方の拡大率を変える
精神療法のひとつの目標は
物の見方の拡大率を変えることなんだと思う
たていては拡大しすぎているので
もっとカメラを引いて、
ズーム倍率を小さくして
物事の全体を視野に入れる
歴史の全体を視野に入れるということなんだと思う
医師のキャリア
産業医としてのキャリアがありながら、臨床医へ転向するため、他大学の医局に新規入局。関連病院や救命救急センターで充実した生活を送るも、肺炎で入院したのを機に、医師としての生き方を見つめ直す。1年間の僻地勤務を経験後、地域医療に貢献しようと開業した。
内因・外因・状況因
昔大学の先輩たちが状況因を言っていたことがあった
本にもなっていて読んだし先輩に直接教えてももらった
しかしいまその言葉が出ることはない
発展的に解消されたのだが寂しい感じはする
職場の近くでの受診を希望される働く世代の方が多く来院されています
父親の年齢は子供の統合失調症リスクと関係がある
父親の年齢は子供の統合失調症リスクと関係がある
Schizophr Res 2011; Advance online publication
英語版 配信日 2011-04-13
MedWire News:オランダの研究が示唆するところによれば、父親の年齢は、子供の統合失調症、自閉症スペクトラム障害、大うつ病性障害リスクと関連があり、双極性障害リスクとは関連がない。
「疫学研究の分野では、父親の年齢が高いことと、自閉症や統合失調症、双極性障害といった、複雑な疾患との関連性を示唆するエビデンスが増えてきている」と、ユトレヒト大学医療センターのRoel Ophoffらは説明している。
しかし、父親の年齢が、こうした子供の精神疾患リスクに、それぞれ異なる影響を及ぼすかどうかは不明である。
そこでOphoffらは、統合失調症(2,564例)、自閉症スペクトラム障害(2,262例)、大うつ病性障害(8,284例)、双極性障害(1,121例)の患者14,231例と、出生年、出生場所、性別を患者と一致させた精神的健常者56,924例について、出生時の父親の年齢を調べた。
平均収入、両親の年齢差、人種・民族的背景などの要因による補正を行った結果、父親の年齢と、子供の統合失調症、自閉症スペクトラム障害、大うつ病性障害の間には、有意な関連性が認められた。
たとえば、父親が35歳を超えてから生まれた子供は、父親が25~29歳のときの子供に比べて、統合失調症の発症リスクが1.27倍高かった。また、40歳を超えてから生まれた子供は、20歳未満で生まれた子供に比べて、自閉症スペクトラム障害の発症リスクが3.3倍高かった。
父親の年齢と子供の大うつ病性障害の関連性は、U字型の関係を示し、出生時の父親の年齢が最も低い群(20歳未満)と最も高い群(40歳より上)が、特にリスクが高かった。
父親の年齢と子供の双極性障害発症の間には、有意な関連性は見られなかった。
Ophoffらは次のように結論づけている。「一般住民を対象とした今回の大規模研究では、父親の年齢と、子供の自閉症スペクトラム障害、統合失調症、大うつ病性障害の有病率の間には関連性が認められたが、双極性障害との間に関連性は認められなかった」。
父親の年齢と子供の統合失調症リスク、自閉症スペクトラム障害リスクの関係は、感情障害とは異なっていた。これは「生物学的・心理社会的機序が異なることを表している可能性がある」。
統合失調症患者は食事態度に異常が見られることが多い
統合失調症患者は食事態度に異常が見られることが多い
Compr Psychiatry 2011; Advance online publication
英語版 配信日 2011-06-22
MedWire News:抗精神病薬治療歴のない統合失調症患者は、一般の人々に比べて、食事のしかたに「異常」が見られることが多いことが、エジプトの研究で明らかになった。
Zagazig University(ザガジグ大学)のMounir FawziとMohab Fawziは、Comprehensive Psychiatry誌の中で次のように述べている。「一般に、摂食障害と統合失調症の併発に関するデータ、特に抗精神病薬の影響を受けていない場合のデータは少なく、エジプトなどの途上国ではほとんど皆無である」。
そこでFawziらは、2009~2010年にザガジグ大学病院を受診した、抗精神病薬治療歴のない患者50例を連続して研究に組み入れ、食事態度の異常がどの程度認められるかを調べた。対照群は、年齢、性別、居住地域を患者群と一致させた精神的健常者50例であった。
被験者全員に食事態度検査(Eating Attitudes Test:EAT40)を実施し、陽性・陰性症状評価尺度(Positive and Negative Syndrome Scale:PANSS)により、患者群の統合失調症の症状重症度を評価した。
EAT40質問紙の得点範囲は0~120点で、30点以上になると、摂食障害のリスクが高いことを示す。
評価の結果、EAT40の平均得点は、患者群が23.4点、対照群が19.7点であった。
さらに、EAT40得点が30点以上であったのは、患者群の30%、対照群の12%であった。
摂食障害リスクの高い統合失調症患者とリスクの低い患者の間で、人口統計学的変数に有意差は見られなかった。
しかし、高リスク患者は低リスク患者に比べて、PANSS総得点が高かった(86 vs 79)。
Fawziらは次のように結論づけている。「本研究データが示すように、精神的健常者に比べて、エジプトの統合失調症患者の一部には、EAT40によって測定した食事態度に顕著な「異常」が見られる。こうしたデータが示されたのは、おそらく本研究が初めてである」。
「統合失調症患者の食事行動の異常と、活発な精神病症状発現の間には関連性がある」。
Disordered eating attitudes common in schizophrenia patients
Compr Psychiatry 2011; Advance online publication
2011-06-22
MedWire News: The prevalence of "disordered" eating is more common among antipsychotic-naïve patients with schizophrenia than in the general population, Egyptian research shows.
Writing in the journal Comprehensive Psychiatry, Mounir Fawzi and Mohab Fawzi from Zagazig University explain that "data regarding the co-occurrence of eating disorders and schizophrenia, especially when not confounded by the effects of antipsychotics, have generally remained limited; and in a developing country, such as Egypt, these data are almost nonexistent."
To address this, the researchers studied the prevalence of disordered eating attitudes among 50 consecutive antipsychotic-naive patients who attended Zagazig University Hospital between 2009 and 2010 and 50 mentally healthy controls who were matched for age, gender, and area of residence.
All of the participants completed the Eating Attitudes Test (EAT40), and those with schizophrenia were assessed for symptom severity using the Positive and Negative Syndrome Scale (PANSS).
Scores on the EAT40 questionnaire range from 0 to 120, with scores of 30 or more indicating a high-risk for eating disorders.
The researchers found that patients with schizophrenia had a mean EAT40 score of 23.4 compared with a mean score of 19.7 in controls.
Furthermore, 30% of patients with schizophrenia had an EAT40 score of 30 or higher compared with just 12% of controls.
There were no significant differences in demographic variables between schizophrenia patients at high risk for eating disorders and those who were not.
However, schizophrenia patients at high risk for eating disorders had higher total scores on the PANSS than those who were not, at 86 versus 79.
The researchers conclude: "Data of this study show, perhaps for the first time, that 'disordered' eating attitudes, as measured by the EAT40, are higher in a group of Egyptian patients with schizophrenia than in controls."
They add that "the presence of disordered eating behavior in patients with schizophrenia is associated with the expression of more active psychotic symptoms."
精神病症状の早期発症と大麻使用の間には関係がある
精神病症状の早期発症と大麻使用の間には関係がある
Acta Psychiatr Scand 2011; Advance online publication
英語版 配信日 2011-09-07
MedWire News:精神病高リスク者の大麻使用と、精神病症状の早期発症の間には有意な関連があると、オランダの研究者らは報告している。
「多くの研究が示すように、大麻使用と精神病発症の間には明らかな関連性がある。しかし、大麻使用と精神病初期症状(あるいは後方視的に見た場合の前駆症状)発現の関係は不明である」と、University of Amsterdam(アムステルダム大学)のD LinszenらはActa Psychiatrica Scandinavica誌の中で説明している。
そこでLinszenらは、統合失調症前駆症状・認知障害の構造化面接(Structured Interview for Prodromal Syndromes and/or Cognitive Disturbances)の基準に従い、精神病リスクが高いと判断された16~35歳の242例のデータを分析した。
統合国際診断面接(Composite International Diagnostic Interview)により、大麻使用に関するデータを収集し、18ヵ月間の追跡調査を行った。
その結果、102例(42.0%)が、過去に5回以上大麻を使用したことがあると答え、45例(18.4%)が大麻使用障害と診断された。初めて大麻を使用した年齢の平均値は17.3歳、大麻依存または大麻乱用の平均初発年齢は17.9歳であった。
追跡調査期間中に合計で37例が明らかな精神病を発症し、このうち15例(40.5%)に大麻使用歴があった。
大麻使用と明らかな精神病への移行、大麻使用障害の診断と精神病への移行の間に、有意な関係は認められなかった。
しかし、性別や社会適応、アルコール使用障害など、潜在的な交絡因子による補正を行った結果、初めて大麻を使用した年齢が低いほど、精神病初期症状(不安、接触回避、抑うつ気分、現実感喪失、思考や集中力の低下)の発症年齢が有意に低かった。
また補正を行った結果、大麻使用障害の発病年齢が低いほど、不安、接触回避、記憶障害、思考や集中力の低下の発症年齢が有意に低かった。
大麻使用障害のない者よりも、大麻使用障害のある者の方が、こうした影響はより一層顕著であった。
さらに、ほとんどの被験者は、精神病初期症状が生じる以前に大麻を使用していた。
Linszenらは次のように結論づけている。「大麻使用は、脆弱性のある個人の精神病発症に重要な役割を果たしていることが、本研究結果から裏づけられた」。
「青年期初期の大麻使用は防止すべきである」。
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あるに決まっているって昔から思っていたがなぁ
トキソプラズマ感染と統合失調症患者の自殺企図の間には関係がある?
なにこれ、まさか
いや、数字の解釈が問題なんだよ
解釈が
統合失調症患者の自殺行動とトキソプラズマ感染の関連性を検討した研究はないというが
あたりまえだ
あるわけない
トキソプラズマ感染と統合失調症患者の自殺企図の間には関係がある
Schizophr Res 2011; Advance online publication
英語版 配信日 2011-09-08
MedWire News:米国の研究が示唆するところによれば、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)による原虫感染と、若年の統合失調症患者の自殺企図歴の間には関連がある。
「先行研究が示すように、統合失調症患者は他の人々に比べてトキソプラズマ抗体保有率が高く、また米国では、閉経後女性の自殺率とトキソプラズマ感染率の間に正の関連性が見られる」と、University of Maryland School of Medicine(メリーランド大学医学部、ボルティモア)のTeodor Postolacheらは説明している。
しかし、「統合失調症患者の自殺行動とトキソプラズマ感染の関連性を検討した研究はない」。
そこでPostolacheらは、統合失調症患者950例(男性600例、平均年齢38歳)を対象に研究を実施した。950例のうち、351例(37%)には自殺企図歴があり、残る599例(63%)に自殺企図歴はなかった。
被験者全員から血液を採取し、固相酵素免疫測定法を用いてトキソプラズマ免疫グロブリンG(IgG)抗体を測定した。トキソプラズマIgG抗体価が0.8以上の場合を、血清陽性とみなした。
さらに、2種類の神経向性ウイルス[サイトメガロウイルス(CMV)、単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)]とグリアジン(小麦タンパク)に対する血清抗体価も測定した。
その結果、38歳(被験者集団の年齢の中央値)未満の患者群(若年患者群)では、トキソプラズマ抗体陽性と自殺企図歴の間に有意な関連性が認められた(補正オッズ比は1.57)。
同様に若年患者群では、トキソプラズマ抗体価と自殺企図歴の間にも有意な関連性が認められた。
38歳以上の高齢患者群では、自殺企図歴とトキソプラズマ抗体陽性およびトキソプラズマ抗体価の間に、有意な関連性は見られなかった。
両年齢群ともに、抗CMV、HSV-1、グリアジン抗体陽性と自殺企図歴の間に関連性は認められなかった。
PostolacheらはSchizophrenia Research誌の中で次のように結論づけている。「本研究では、トキソプラズマと自殺行動の関係を示す新たなエビデンスとして、若年の統合失調症患者における自殺企図歴と、トキソプラズマ抗体の間に関連があることが見いだされた」。
「(今後の縦断研究によって)本研究所見が追認され、エビデンスが確立されれば、予防的にも治療的にも大きな意味をもつことになる」。
復職前のリハビリテーション
受診される患者様の特徴を教えてください。
うつ病により休職となった場合の復職における考え方を教えてください。
うつ病は再発が多いため,治ったからといって復職しても,再発して結果的にはまた休職ということになってしまうこともあります。それを防ぐために復職前のリハビリテーションを行う時代になってきています。リハビリテーションは職場再適応のほか,再発予防,増悪予防を目的としており,治療と並行して行います。例えばうつ病の治療初期では休息が大切ですが,患者さんは,家でぶらぶらしていることに罪悪感を覚えて休息できないまじめな性格の方が多く,その考え方を変えていくよう働きかけをします。再発のきっかけともなる休息できない理由はどこにあるのかということをご本人の体験に根ざして考え,復職後に適度に休息できるように軌道修正していくのが,私が行う治療的リハビリテーションの特徴です。復職前のリハビリテーションでどの程度職業的能力のレベルを高めていくかは職種や睡眠リズム障害など残遺症状の有無によって異なります。
また,個人差はありますが,復職するまでの期間は約3~6か月を目安としています。
うつ病の薬物療法において,重要と思われる点は何でしょうか。
まず,患者さんのうつ病のタイプをきちんと診断することです。近年では双極性障害のうつ状態の方も増えており,単なるうつ病の場合と薬物治療が異なってきます。診断がついたら,病気であることを患者さん自身に受け入れていただけるかということも大切です。それがクリアできないと,後々の治療に支障が表れます。また,患者さんの治療環境を把握することも大切です。十分な休息ができる環境か,家族や職場の人は協力的かなどを合同面接で確認し整備することが必要となります。
薬物治療においては患者さんのコンプライアンスが重要となるため,やはり副作用が少ない薬剤を選択します。フルボキサミンは副作用が比較的少ないため,投与初期から維持期まで,一貫して使用できるところがよいと思います。ただ,フルボキサミンは投与初期の吐き気が問題となることがあり,私は最初からスルピリド(ドグマチール®)を併用しています。また,統計を取ったわけではありませんが,フルボキサミンでの維持療法を続けている患者さんでは,再発が少ない印象があります。
多次元精神医学 Holistic医学 Bio-psycho-social モデル
多次元精神医学からの連想
現代で言えばBio-psycho-social モデルということになると思う
まず頭に思い浮かべているのは
以前は心身医学の代表みたいだったストレス性胃潰瘍が
なんとヘリコバクター・ピロリの発見で
解明されてしまったこと
その場合、生物心理社会モデルとは何の役割を果たしていたのかということだ
反省はしたのかな
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
To cure sometime
to heal often
to console always
といわれる
生物心理社会モデルでは、自分のしていることは、cureなのかhealなのかconsoleなのか
はっきり自覚していますか
という問題がある
最初はもちろんconsoleのつもりで、しかし
いつの間にかhealをしている気分になり
さらにいつの間にか患者も治療者もcureしているつもりになっているとしたら
どうだろう
疾病を診るのではなく患者を診よとか
精神科領域でなくても、そして精神科領域では特に、強調される
大切なことだと思う
安易にHolistic医学とかの名前も使う
反対に身体還元主義的な態度は高級なものとはされていない
Holisticな立場というものは生物心理社会モデルに加えてしばしばスピリチュアルな領域の癒しも含んでいて
そのような立場の人達が使う言葉でもあり
従って普通の立場からはやや注意を必要とする言葉になっている
私はむしろ、SPIRITUALな領域が大好きだし
Ken Wilber などの立場が好きなので
私が賛成したいHolistic以外のHolisticには苦々しい感覚を持っている
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
患者さんのためにできることはなんでもしようという態度は大切だと思うのだが
していることのすべてが
cureではないことを忘れてはいけない
これはheal、これはconsoleと区別して混同しないようにしたいものだし、
わざと混同させて、治りにくい病気に関して、さらに事態を混乱させていることがないでもない
1980年ころから生物学的精神医学が急速に発展し
そのかわり、ナチに追われてアメリカに渡ってきて発展を続けていた精神分析の人たちの伝統は
下火になっていった。
しかし、お互いに伝統というものがあるので、容易に妥協はしないし、
さらにアメリカの場合には宗教的な関係もある。
普通に考えれれば、薬剤を適正に使用した上での、適正な精神療法はどうあるべきかが
もっと議論されて発展するべきなのに、そのような動きではない
心理療法や精神療法がある特定の人達の特定の興味をかきたてることは事実であるし
その人達は往々にして生物学としての精神医学を
やや下に見ているところがある
(かもしれない)
全体論とか人間中心主義とか哲学的に見ても格好いいのであるが
実質何を意味しているのとか言えば
カテゴリーの混同があるようにも思う
今はもう古い言葉だけれど実存的とか現象学的とか人間主義的とか
すごく分かるし大切だし好きなんだけれど
肝心のところで少しだけエラーをしているような気がしないでもない
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
実際的にはあまり重大問題ではなくて
自分が今していることはcureなのかhealなのかconsoleなのか
を区別しておこうというだけだ
言いたいことはそれだけだ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
伝統的な医学では、身体医学的な探索を充分にした後、
それでも原因が分からず、症状は確実にあるという場合、
人間存在のあり方を見つめていこうというアプローチになる
その「探索充分」の程度が甘すぎる場合があり、
せっかく治るものも治らないままでおかれている場合もあるのだろうと推定する
(あくまで推定である。Ghaemiも断定はしていない)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
たとえばよくあるのは、精神科の薬を飲んだ上に、カウンセリングもしたら
きっといいに決まっているという考え方
なんてシンプルなのだろう
そのように考えている時点で
すでにカウンセリングは必要のない程度にシンプルな人間なのだと分かるような気もする
薬の副作用には非常に敏感で疑い深く
ネットの根拠のない書き込みを信じるのに
カウンセリングがもたらす甚大な副作用をなぜ考えないのだろう
不思議なことだと思う
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
scienceとhumanismは
究極的には一致すると思うが
途中経過としては一致しないこともある
medical humanismといえば聞こえはいいが
実際何であるのかは
各個人の胸の中にしかない
水位が上がるまで待つ
糖尿病患者に対して、CATとDSNEの有効性
論文を見ていると、糖尿病患者に対して、CATとDSNE(Diabetes specialist nurse education
糖尿病専門ナース教育)とどちらが有効か
なんていうのがあって、結果は有意差なしです。
健康に悪い習慣から抜けられない、「procedure」を変更できないのは、過去の経験の反復があって、それに支配されているからだ。
そこでCATを用いて生活習慣を変える。
紹介にはやはり時間制限(16-20セッション)の焦点づけられた精神療法で、イギリスのNHSに適するようにセットされていると書かれている。
精神分析と認知行動療法の成果を学習しやすくして簡潔にして、広めようという目的がはっきりしている。
16週間で、4回目にreformation letter を書く。患者の鍵となる過去の経験とそれがどのようにして現在を縛っているのかを説明している。
こうすればそれを変更できるのではないかと、作業仮説を提案して、同意ができたら、実行する。
TPs :Target problems 問題
TPPs :Target problem procedures 問題を持続させているプロシージャ
それぞれのTPPに関して、alternatives はないか検討する
心理の先生にすればナースにもできるのは
おもしろくないかもしれないが
本当に価値があって普遍性があるなら
なるべく中心部分だけ精錬して使いたいというのも分かる気がする
一方、従来の、ナースによる患者教育
これは一部はアルコール症の時によく使う動機付け面接(MI)などのテクニックも含んでいるのだと思う
こっちの方が、おまえは精神的に問題があるから、糖尿病が良くならないんだと言われないで済むので
気が楽だろうとは思う
精神的に病んでいる人間とそれを治療する人間という傾斜がなくて
フラットな関係で治療が進めばそれもいいことだと思う
DSNE に関しては、患者教育+動機付け面接 位の感じなんだなと思う
それでも生育歴とか細かく聞くらしいので
reformation letter を書かないだけで、賢い患者さんは気がつくのだろう
CATも患者教育という側面が強いから16回という限定ができるのだと思う
さらにreformation letter などを使って、あとはそれを繰り返し考えてもらえばいいわけだ
ーーーーー
行動や思考を変えられないのはなぜか、精神分析的な観点から同意を形成する
そして行動と思考を変えるにはどうすればよいか、健康行動を活性化するにはどうすればよいか、
認知行動療法的に提案して実行してもらう
あとは自分の努力
ーーーーー
患者教育のテクニックをもっと向上させられないか
考える必要がある
なぜ薬をのむのか
どのように飲めばいいのか
忘れたときはどうするか
副作用が出たらどうするか
そのあたりを懇切丁寧にしたらもっと治療効果が上がると思う
多次元精神医学 チュービンゲン学派とその現代的意義
本書はチュービンゲン学派(Tübinger Schule)を代表する精神医学者の主要論文の邦訳である。本書を読めばチュービンゲン学派の研究のエッセンスを学ぶことができると思う。
まず本訳書のうまれた経緯について述べておきたい。1997年6月ドイツのミュンスター大学で開かれた「精神医学の諸次元」というシンポジウムに招かれ,その後半年ほどTölle教授の下に滞在した。その折にTölle教授からチュービンゲン学派のなかでKretschmerの著書はほとんど日本語に訳されているが,チュービンゲン学派の主要な論文はまだ紹介されていないのではないか,帰国後にこれらの主要な論文を一書に編んで訳書として出版したらよいのではないかという提案をいただいた。それでTölle教授と私でその具体的内容を議論しながらできあがったのが本書であり,Griesingerに始まり,Gaupp,Kretschmer,Mauzを経て,Engelmeier,Schimmelpenning,Tölle,Mesterの世代に及んでいる。
日本の精神医学は明治以来主としてドイツ精神医学の影響下で発展してきた。たとえば私の恩師である内村祐之先生の精神医学は,Schneiderの記述精神病理学を基本に,Kretschmerの多次元精神医学(多次元診断と治療)を加えて形成されたといってもよいであろう。私自身の精神医学もその衣鉢を継いでいる。私とチュービンゲン学派との個人的関係についてはかつて書き記した文章(神戸精神分析学会編『精神分析』誌9号,2001年所収)があるので巻頭に再録する。
DSM-Ⅲの登場以来,アメリカ流の操作診断が日本にも普及しつつあるが,これとても,それまで精神分析が主流であったアメリカ精神医学にドイツ精神医学が,つまりSchneiderの記述精神病理学とKretschmerの多次元精神医学とがとりいれられて成立したとみることもできるであろう。ここにもDSM-Ⅲ・Ⅳという精神医学の共通診断の成立に果たした20世紀のドイツ精神医学の所産の大きさを感ぜざるをえない。
精神科医をめざす最近の若い人たちが安易に操作診断と薬物治療のアルゴリズムで良しとしてしまう危険を感ずる。それにつけても,その背後にあるハイデルベルク学派(Heidelberger Schule)とともに20世紀のドイツ精神医学の二大潮流であったチュービンゲン学派の臨床研究を原典に即して学ぶ必要があることを痛感する。
最近ドイツ語の著作や論文を原典で読める研修医が少なくなっていることを思うと,翻訳書が研修医のテキストとして役立つことを確信している。本書を読めば,広い視野と深い洞察にみちた多次元精神医学の醍醐味をじっくりと味わうことができるであろう。
飯田 眞
目次●
翻訳によせて:Rainer Tölle
まえがきにかえて――チュービンゲン学派:飯田眞
Ⅰ部 概 説
1. 精神医学における次元:Rainer Tölle
2. 多次元診断 治療の土台――臨床研究の限界:Gustav W. Schimmelpenning
Ⅱ部 主要論文
3. ベルリン大学精神科開設に際しての講演:Wilhelm Griesinger
4. 精神医学的認識の境界:Robert Gaupp
5. パラノイア学説によせて:Robert Gaupp
6. 外傷性脳衰弱における心因性妄想形成:Ernst Kretschmer
7. パラノイア学説の現代的発展のための原則について:Ernst Kretschmer
8. 内因性精神病の予後学:Friedrich Mauz
9. 内因性精神病における精神療法の可能性――個人的回顧ならびに展望:Friedrich Mauz
10. 患者に傾聴すること――精神科治療の人間学的視点:Rainer Tölle
11. 治療と症状改善に対するうつ病者の体験について:M.-P. Engelmeier
12. 寄生虫妄想――幻覚の構造と病因論への寄与:Horst Mester
Ⅲ部 人と業績
13. Wilhelm Griesinger(1817-1868)――科学的精神医学の150年:Rainer Tölle
14. Robert Gaupp(1870-1953):Friedrich Mauz
15. Ernst Kretschmer(1888-1964):Friedrich Mauz
16. Friedrich Mauz(1900-1979):Gustav W. Schimmelpenning
17. Max-Paul Engelmeier(1921-1993):Kurt Heinrich
18. Horst Mester(1934-1984):Rainer Tölle
19. チュービンゲン学派――多次元精神医学の起源:Rainer Tölle
ーーーーー
クレッチマーは、次のように述べている。
「まず人格の体質生物学的基礎(遺伝・気質)に即して観察し、次に心理反応的体験要素と個々の動機という観点から、最後に一般社会学的関係にしたがって吟味する。さらに、共存する身体的要因(中毒・障害者・感染・疲労・夢)などを臨床的に詳しく調べていけば、因果的な全体像が完成する」
現在の精神医学の概念に沿って、これを整理すると、各次元とは次のようなものになる。
生物学的次元
遺伝、体型・体質、性的成熟、脳障害・脳波異常、精神病、中毒
医学心理学的次元
知能、気質・性格、自我の成熟、人格、心因反応、夢・幻想
心理社会的次元
生育環境(親子関係など)、人格環境、犯因性社会環境
文化社会的次元
価値観、地球、学校、その他
ーーーーー
http://smapg2011.up.seesaa.net/image/biopsychosocial20model.pdf
こちらはGhaemiが
Bio-psycho-social というのは実はどうなんだと
論じている
トラウマを理解する 対象関係論に基づく臨床アプローチ
ガーランド C. 著
目次●第Ⅰ部 概 論
序 章 なぜ精神分析なのか?
第1章 トラウマを考える
第2章 人間による過誤
第Ⅱ部 アセスメントとコンサルテーション
第3章 心的外傷後の状態の精神力動的アセスメント
第4章 予備的介入:4回からなる治療的コンサルテーション
第Ⅲ部 精神分析的心理療法による治療
第5章 トラウマと憤懣
第6章 トラウマを蒙った患者の心の仕事
第7章 治療上の問題:レイプの事例
第8章 外傷的な死別後にみた夢:喪の哀悼かその回避か
第9章 トラウマにおける同一化過程
第Ⅳ部 精神分析
第10章 発達上の損傷:内的世界への影響
第11章 外的損傷と内的世界
第Ⅴ部 グループ
第12章 トラウマを蒙ったグループ
第13章 トラウマ後の状態における行為,同一化,思考
監訳者まえがきより●あらためて述べるまでもないが,本書にはクライン派を中心とする英国対象関係論に基づいたトラウマの理解と臨床アプローチが著わされている。ここにはアセスメント,コンサルテーション,分析的心理療法,精神分析,集団療法と,見立てから治療までが包括されている。これらがタヴィストック・クリニックのトラウマ・ユニットでの臨床実践の蓄積に基づいて著わされているのだから,実行されているものという強い説得力がそこにある。そして当然ながら,英国精神分析の伝統に則った臨床ケースの豊富な提示が,私たち自身の臨床に沿った理解を推進する。
トラウマについては安易な見解が出されすぎたため,解離やパニック,反復想起,自傷等が訴えの中に認められるとただちに,原因はトラウマで診断はPTSDという短絡的に決め込まれる恐ろしい風潮さえ出現している。またこうした風潮を煽る論文や書物もいまだ出てくる。しかしながら,トラウマとこころへのその影響を真に知るには,臨床場面で遭遇する一例一例に丹念にかかわっていくこと以外はありえない。そうした丹念な臨床実践を重ねたその成果が本書である。
私たちが臨床家であるなら,本や論文を机上に読むことからは私たちは学べない。学びは臨床現場にしかない。ただそれでも,書物は私たちの理解を整理補足し,ときに修正し新たな視点を提供することがある。この役割さえ果たせない書籍も多いが,本書はその役割を確実に果たすものである。
原著の初版は1998年に出版されたが,2002年の増補改訂版に本書は基づいている。本書の翻訳は,田中健夫と梅本園乃というふたりの心理臨床家によって達成された。ふたりとも精神分析を真摯に学び,日々の臨床に実践してきている臨床家である。そうした臨床実践を通して本書の諸見解を照合し再考しながらの地道な翻訳作業であったが,それが成就され,ここに読者に提供された。
現代社会は,こころの臨床家にその貢献を過剰なまでに要求しているように私には思える。そこには,こころの病理とそれにかかわる臨床が社会に認められたという文化的達成があるのは間違いない。しかしそうであるがゆえに私たちは,その要求に万能的に,もしくは問題解決希求に表層的に応えるのではなく,限界はあるが実体のある応答を積み重ねるべきであると私は考える。なぜなら,いつの時代も人々はその時代の特質や達成を大げさに評価したいのであるから,私たちこそが足を地に着けておかねばならない。そうでないなら,患者やクライエントはふたたび不幸になってしまう。この意味においても,本書は臨床家としての私たちの堅実な在り方を確かに支えてくれる。
パーソナリティ障害の認知療法
目次●
プロローグ 「標準的」認知療法
第I部 総 論
第1章理論
第2章臨床
第3章鑑別治療学
第II部 各 論
第4章 情緒不安定性パーソナリティ障害で認知行動療法が有効であった一症例
第5章 「認知療法は苦手です」と標準的認知行動療法に躊躇を示した情緒不安定性パーソナリティ障害患者の入院心理療法―患者の認知行動スタイルとニーズに合わせた認知行動療法の活用
第6章 認知療法中止例に学ぶ情緒不安定性パーソナリティ障害における精神療法的介入の工夫
第7章 演技性パーソナリティ障害への弁証法的行動療法
第8章 神経性無食欲症を合併した強迫性パーソナリティ障害に対する認知行動療法
第9章 不登校からひきこもりを呈した青年期事例における不安性(回避性)パーソナリティ障害への介入
第10章 不安性(回避性)パーソナリティ障害の認知療法―自責と拒絶の怖れを訴える女性への,認知的概念化と介入
第11章 不安性(回避性)パーソナリティ障害を伴った重症対人恐怖症に対する認知療法
第12章 セックス・セラピーを求めてきた夫が不安性(回避性)パーソナリティ障害の一症例
第13章 パニック障害をともなった依存性パーソナリティ障害に対する認知行動療法的介入
エピローグ 認知療法の新しい地平
あとがき
索 引
あとがきより抜粋●
本書では,原則として,世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD-10)に依拠したパーソナリティ障害の下位分類を用いた。日常診療でICD-10による臨床診断が求められるからである。特定のパーソナリティ障害(F60)には,妄想性パーソナリティ障害(F60.0)から依存性パーソナリティ障害(F60.7)までが区別される。認知療法は,Beckらの著書にあるように,どのパーソナリティ障害にも適用可能である。しかし,本書には情緒不安定性パーソナリティ障害(F60.3)以降を取り上げた。各論の最初を飾るのは情緒不安定性パーソナリティ障害である。第4章は外来での治療の粋が提示され,第5章は入院を含む継続的な関わりが論じられる。第7章には演技性パーソナリティ障害(F60.4)が登場する。ここではマインドフルネスがキーワードである。第8章は強迫性パーソナリティ障害(F60.5)で,摂食障害を伴っている。そして,第9章から第12章までの4ケースは,不安性(回避性)パーソナリティ障害(F60.6)である。不登校・ひきこもり,リストカット,対人恐怖,セックス・レスといった病歴がみられる。最後は第13章のパニック障害を伴う依存性パーソナリティ障害で締め括られる。鑑別治療学にいう治療の場・治療の形態も一様ではない。いずれも日常臨床で出合いうるケースばかりである。
興味深いのは第6章の情緒不安定性パーソナリティ障害である。総じて,新しい治療を提示するとき,成功例が並ぶのは当然かもしれない。しかし,『臨床の実際』という場合,多くの,大小さまざまな失敗を経験することは不可避であろう。エビデンスが強調される昨今の趨勢を鑑みると,認知療法中止例から学ぶことはむしろ大きいかもしれない。
本書を手にされた専門職の方々が,パーソナリティ障害に関わる新しい視点を得て,これを温め,そして日々の臨床活動に活用されることを切に願っている。
対人関係療法総合ガイド
本書は,“Comprehensive Guide to Interpersonal Psychotherapy”の全訳である。2000年に米国で出版された原書は,現在,最も正式な対人関係療法(IPT)のマニュアルであり,1984年に出版されたオリジナル・マニュアル(邦訳は1997年に岩崎学術出版社から出版された『うつ病の対人関係療法』)を改訂したものである。
対人関係療法(IPT)は,現在では,エビデンスに基づく精神療法として認知行動療法(CBT)と双璧をなす治療法として国際的に知られており,米国精神医学会のうつ病治療ガイドラインなどにおいても有効な治療法として位置づけられているものである。その後,うつ病以外にもさまざまな障害やさまざまな患者層に向けて修正され,効果が検証されてきた。1960年代末から開発されたが,効果検証のための臨床研究を優先させたため,一般臨床に普及するようになったのは1990年代に入ってから,という特異な歴史を持っている。
1984年版のオリジナル・マニュアル『うつ病の対人関係療法』は,Klermanが筆頭著者となって書かれたものであるが,彼は1992年に逝去した。現在ほどIPTが全世界に普及するとKlermanは思っていなかっただろう,とIPTの共同創始者でありKlermanの妻でもあるWeissmanは述べている。それほどに,IPTは,彼が亡くなってからも発展を続けている。それが,マニュアルの改訂が必要となった大きな理由である。本書の第2部以降は,オリジナル・マニュアルには含まれていなかった内容であるが,1984年以降に,いかにIPTが成長したかということを示すものであろう。2000年に出版された本書の著者にKlermanが含まれているのは,そんなすばらしい治療法を世に送り出した主力となった彼への敬意の表れである。訳者である私は,そんなところにもIPTのスピリットを感じている。
日本でも近年IPTへの関心が急速に高まり,厚生労働科学研究にも加えていただけるようになった。そんな中,絶版になった『うつ病の対人関係療法』を復活させてほしいという声が多く聞かれるようになった。そこで今回,日本におけるIPT普及の原点である岩崎学術出版社から改訂版のマニュアルである本書の訳書を出版していただけることになり,心から感謝している。なお,保険会社に支配された米国のマネジドケアに関する部分など,日本における臨床と直接関係のないごく一部は省略させていただいていたことをご了解いただきたい。
本書が出版された2000年以降にも,IPTは進化を続けている。最新情報は,国際IPT学会(International Society for Interpersonal Psychotherapy : ISIPT)のウェブサイト(http://www.interpersonalpsychotherapy.org/)を参照していただきたい。
本書の出版によって,KlermanやWeissmanが志した形で,日本の臨床の場にIPTがさらに広がることを心から期待しています。
水島広子
序文
IPTの概観
第1部 うつ病の対人関係療法を実践する
1 IPTの概要
2 初 期
3 悲哀(複雑化した死別反応)
4 対人関係上の役割をめぐる不和
5 役割の変化
6 対人関係の欠如
7 治療の終結
8 具体的な技法
9 よくみられる問題
10 大うつ病の急性期治療の効果データ
第2部 気分障害へのIPTの適用
はじめに
11 反復性の大うつ病に対する維持IPT(IPT-M)
12 気分変調性障害に対するIPT(IPT-D)
13 思春期うつ病に対するIPT(IPT-A)
14 高齢者のうつ病に対するIPT
15 夫婦間不和のあるうつ病患者に対する夫婦同席治療(IPT-CM)
16 双極性障害
17 プライマリケアと身体疾患の患者
18 うつ病のHIV陽性患者に対するIPT(IPT-HIV)
19 産前産後のうつ病患者
第3部 気分障害以外へのIPTの適用
20 物質使用障害
21 摂食障害:神経性大食症と神経性無食欲症
22 不安障害
23 開発中の適用
第4部 IPTのリソース
24 IPTの新しいフォーマット:グループ,電話,患者ガイド;他の言語と文化における翻訳と活用
25 トレーニングと治療マニュアル
第5部 IPTの今後
IPTの今後
付録 統合的な症例
メンタライゼーションと境界パーソナリティ障害
メンタライゼーションと境界パーソナリティ障害
MBTが拓く精神分析的精神療法の新たな展開
ベイトマン A./フォナギー P.著
狩野力八郎・白波瀬丈一郎 監訳
あとがきより■
本訳書は,メンタライゼーションに関する著作としては,わが国初のものである。本書の翻訳を思い立ったのは,メンタライゼーション概念や治療様式,あるいは著者たち,さらにはそれが生成される過程といろいろな個人的縁があってのことであるが,なによりも,メンタライゼーション理論とそれに基づく臨床が,まさしく精神分析の真の精神を受け継いでおり,21世紀における精神保健の動向や脳科学の発展をも視野に入れた,精神分析の現代的かつ最新の発展形だと考えているからである。
精神医学や臨床心理の分野において,精神分析の退潮が言われているが──事実そうであるが──それは精神分析に本来的に臨床的価値がないからではなく,もっぱら医療経済的圧力によるものだからである。精神分析に責任があるとすれば,こうした社会の現代的動向に十分応えてこなかったという点である。この意味でも,メンタライゼーションに基づいた治療は,社会に対して,精神分析の価値を説明するひとつの言葉になるであろう。
さて,メンタライゼーション理論は,愛着理論と精神分析との間にあった歴史的葛藤に対する根本的な解決を示している。そして,この理論の直接的なルーツは,心の理論といった認知心理学,対象関係論とりわけSandlerの表象世界論やBionの夢想することやα機能といった思考,脱備給を重視するフランス精神分析,移行空間,遊ぶこと,ミラーリングといったWinnicottの発達的精神病理学にあるが,それだけでなく近年の乳幼児発達研究からの膨大な知見が活用されているし,この概念は精神分析と神経生物学とのインターフェイスをも説明する。そして,自己はどこから来るのか,という長年の哲学的問いに対する臨床からの答えを出そうとしている点で,この理論は哲学とのインターフェイスも持っている。このようにメンタライゼーション理論は,自らの基礎を精神分析に置きながら,隣接する多くの学問領域の知識を取り入れ,再構成したものである。
しかし,何よりもメンタライゼーションの価値はその臨床における実用可能性にある。多くの臨床家と研究者が,様々な臨床分野でメンタライゼーションに基づいた治療の実践に取り組んでいる。心的外傷関連の障害やBPDの臨床だけでなく,SMART,家族療法,集団精神療法,研修医教育,救急入院プログラム,心理教育,精神科予防などの分野で適用されている。
そうした多くの著作の中で,私たちがまず本書の翻訳を試みようとした理由は,本書が,BPDの成因とそれに関する研究,BPDの治療の効果研究について広範かつ詳細なレヴュウをしていること,メンタライゼーション概念そのものとBPDに関するメンタライゼーションに基づいた理解を詳しく解説していること,そして実際のBPD治療を実に詳しくかつ具体的に書き込んでいることなどである。つまり,メンタライゼーション概念を理解し,BPDに対するMBTを具体的に把握するには,まず本書が最適であると考えたのである。
日本語版に寄せて
序 文
著者について
序 論
本書の著者
1 境界パーソナリティ障害の疫学的,病因論的調査
1.問題の明確化
2.疫 学
3.臨 床 像
4.BPDの自然経過
5.メカニズムと病因論的因子の研究
6.結 論
2 治療調査と転帰
1.心理学的治療
2.薬物療法
3.転帰調査における問題点
3 境界パーソナリティ障害のメンタライゼーションに基づく理解
1.境界パーソナリティ障害borderline personality disorder(BPD)の発達的起源
2.愛着理論という視座の妥当性
3.安定型愛着の文脈での最適な自己発達
4.不安定基地の影響
5.愛着外傷の影響
6.結 論
4 境界パーソナリティ障害の最新治療モデル
1.転移焦点化精神療法Transference-focused psychotherapy(TFP)
2.弁証法的行動療法
3.認知行動療法
4.認知分析療法(CAT)
5.精神力動的対人関係療法Psychodynamic-interpersonal
6.治療共同体Therapeutic communities(TC)
7.他の北アメリカのアプローチ
8.他のヨーロッパのアプローチ
9.メンタライゼーション:境界パーソナリティ障害に対する精神療法における共
10.結 論
5 治療の組織化
1.はじめに
2.治療サービス・モデルService models
3.治療プログラム
4.スタッフ
5.アセスメント
6.治療の取り決めengagement in treatment
7.チームを支えること
8.ケア・プログラム・アプローチCare programme approach
9.アドヒアランス
10.結 論
6 他でも使えるMBTモデルの特徴
1.構 造
2.一貫性,不変性,整合性
3.関係性への焦点づけ
4.柔 軟 性
5.強 度
6.ケアの個別的アプローチ
7.薬物の使用
8.治療形態の統合
9.結 論
7 治療の戦略
1.メンタライゼーションを促進する
2.ギャップの橋渡し
3.転 移
4.精神的近さを保持する
5.今の精神状態を扱う
6.欠陥をこころにとどめておく
7.現実的関係
8.結 論
8 治療技法
1.情動affectの同定と適切な表出
2.安定した表象システムの設立
3.自己がまとまっているという感覚の形成
4.安全な関係を形作るための能力の開発
5.結 論
9 実施への道筋
ステップ1:働いている文脈を考慮し,自分のスキルと実践方法を同定し,資源を下調べする
ステップ2:組織原理を適用する
ステップ3:現在の臨床の目的と技法を修正する
ステップ4:挑戦的な行動に対処するための手続きを実施する
ステップ5:継続的に自分の実践を評価する
付録1 自殺・自傷尺度
付録2 訓練用教材
付録3 危機計画
付録4 MBTアドヒアランスと能力の評価
付録5 集中的外来プログラム(IOP)リーフレットの文章
付録6 入所フィードバック質問紙
参考文献
監訳者あとがき
索 引
論理あるいは論理以前の食い違い
話し合いは人間同士の間で基本だと思うが
物事の原因をどこまでさかのぼって考えているかが
しばしば問題になる
食い違いの原因はそこにあることも多い
A→B→C→D→E という具合で話が展開したとして、
一方は自分に都合のいいようにCからのことを話す
ひどい話だ、何も悪いことはしていないのにとか言う
しかし他方からすれば
だってそもそもあなたがBしたんでしょうなどと言い出す
そして客観的に見れば
そもそもの始まりにAがあったんですよね、実は
というような具合で
人間は自分に都合のいい部分を切り取って理屈をつけるので
理解が難しい
理屈になっていればまだしもだけれども
理屈にもなっていないことが多くて
そのあたりはトレーニングができていないことが分かってしまう
普段から論理的に話を進めているのではなくて
ただ自分の言いたいことをつぎはぎ的につなげているだけで論理になっていない
確かに習慣が人間を作ると思う
ーーー
論理は点を結んで線にする強力で普遍的な道具であるが
論理を理解しない人にとっては
面倒なものでしかないだろう
現代社会の一つの特徴は
価値観を共有するサブセットグループが多種多様に存在することである
家庭がすべてではないし
隣近所や学校がすべてでもない、
ネット上の知り合いも自分のすべてをかけてコミットしているわけではなくて
嫌になったらすぐに連絡を切断することができる
多重的なアイデンティティを生きているという点で
新しい時代なのだと思う
そのような中で、お互いに通じ合う言葉を見つけ、通じ合う論理を見つけるのは
結構難しいことだと思う
至って謙虚で自分に自信がない人
話を聞いてみると家族から友人まで
その人よりももっとすごい人達がたくさんいて
その平均から考えると
自分は明らかに平均以下であるというのだった
確かに、人間が生きる環境としては
そのようなことになるだろう
血縁者であればDNAの共有のせいで優秀者が多くなるわけだし
仕事で付き合う人も似たようなレベルの人が多くなる