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「アベノミクス」は第2ステージ「新3本の矢を放つ」 GDP(国内総生産)600兆円の達成を目標に

採録

自民党総裁再選会見(1)「GDP600兆円達成が目標」
産経新聞 9月24日(木)19時37分配信
 安倍晋三首相(自民党総裁)は24日、党両院議員総会で総裁再選が決まった後、党本部で記者会見し、次の任期で推進する経済政策「アベノミクス」の展望やGDP(国内総生産)600兆円の達成といった目標を語った。詳報は以下の通り。

■「アベノミクス」は第2ステージ

 止まらぬデフレ、美しい海や国土に迫る脅威。3年前、日本は民主党政権のもとで混乱を極め、国家的な危機に直面していた。その危機感を共有し、国民の皆様の力によって私たちは政権を奪還をすることができた。あれから2年9カ月。日本を取り戻す。このお約束を実現するために私たちは全力を尽くしてきた。

 アベノミクスによって雇用は100万人以上増えた。2年連続で給料も上がり、この春は17年ぶりの高い伸びとなった。中小、小規模事業者の倒産件数も大きく減少した。もはやデフレではないという状態まで来た。デフレ脱却はもう目の前だ。この3年間で日本を覆っていた、あの暗く重い沈滞した空気は一掃することがでた。日本はようやく新しい朝を迎えることができた。

 この3年間の実績に対して、さらに次の任期を務めよ、との多くの党員の力強い支持をいただき、さらに3年間、自由民主党総裁の重責を担うこととなった。これまでの3年間を超える結果を出すことを私は求められていると思う。次の3年間、私は未来を見据えた新たな国造りを力強く進めていきたい。本日この日からアベノミクスは第2ステージへと移る。

■「新3本の矢を放つ」

 目指すは、1億総活躍社会だ。少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持する。その国家としての意思を明確にしたいと思う。同時に、何よりも大切なことは、一人一人の日本人、誰もが家庭で、職場で、地域でもっと活躍できる社会をつくる。そうすればより豊かで活力あふれる日本をつくることができるはずだ。いわば日本1億総活躍プランを作り、2020年に向けてその実現に全力を尽くす決意だ。

 そのために新しい3本の矢を放つ。第1の矢「希望を生み出す強い経済」。第2の矢「夢をつむぐ子育て支援」。そして第3の矢「安心につながる社会保障」。希望と夢と安心のための「新3本の矢」だ。アベノミクスによる成長のエンジンをさらにふかし、その果実を国民一人一人の安心、将来の夢や希望に大胆に投資していく考えだ。今日よりも明日はきっとよくなる。明日への希望は強い経済なくして生み出すことはできない。これからも経済最優先。経済政策が第1の矢だ。

■「多様な働き方改革進める」

 そのターゲットは戦後最大の経済、そしてそこから得られる戦後最大の国民生活の豊かさだ。GDP600兆円の達成を明確な目標として掲げたいと思う。そのために雇用をさらに増やし、給料をさらに上げて、消費を拡大していく。デフレから脱却し、力強い成長軌道に乗せるため、生産性革命を大胆に進めていく。大きな経済圏を世界に広げながら投資や人材を日本へと呼び込む政策を果断に進めていく。女性の皆さんが家庭で、職場で、地域で、もっともっと活躍できる社会をつくっていかなければならない。一度失敗を経験した皆さん、また難病や障害のある方、すべての人がもう一歩前に踏み出すことができる社会をつくることが必要だ。多様な働き方改革を進め、誰にでも活躍のチャンスがある経済をつくり上げていく。

■ふるさと活性化

 北は北海道から南は沖縄まで、地方がそれぞれ持っている特色を存分に生かしながらふるさとを活性化する。地方創生もいよいよ本格化していく。南アルプスを貫く全長25キロに及ぶ巨大トンネル。先月、リニア中央新幹線が本格着工となった。東京と大阪を1時間で結ぶ夢の超特急であり、日本の最先端技術の結晶だ。北陸新幹線は今年の春、富山から金沢まで乗り入れた。さらに来年3月には北海道新幹線が開業となる。高速鉄道によって北から南まで地方と地方をつないでいく、日本全国が大きな1つの経済圏に統合されることによって、それぞれの地方にダイナミックな成長のチャンスが生み出される。地方創生の大きな起爆剤となると考えている。

■「出産や結婚の希望かなえる社会をつくる」

 第2の矢は、夢を紡ぐ子育て支援だ。そのターゲットは、希望出生率1.8の実現だ。多くの方が子供を持ちたいと願いながらも、経済的な理由などで、実践できない残念な現実がある。待機児童ゼロを実現する。幼児教育の無償化もさらに拡大する。3世代の同居や近居を促し、大家族で支え合うことも応援したいと思う。さらに多世帯への重点的な支援を行い、子育てに優しい社会をつくり上げていく。子供がほしいと願い、不妊治療を受ける、そうしたみなさんも、ぜひ応援したい。結婚したいと願う若者の背中を押すような政策も打っていきたい。だれもが結婚や、出産の希望をかなえることができる社会をつくりあげていかなければならない。

 そうすれば、今1.4程度に落ち込んでいる出生率を1.8まで回復できる。そして、家族を持つことのすばらしさが実感として広がっていけば、子供を望む人たちがもっと増えることで、人口が安定する出生率2.8も十分視野に入ってくる。少子化の流れに終止符を打つことができると考えている。

■「誰もが進学できる環境整える」

 教育再生の主役は子供たちだ。同じ子供は、一人としていない。個性はそれぞれ違う。社会の価値観も多様化している。そうした時代にあって、教育制度の複線化は不可欠だ。いじめや発達障害など、さまざまな事情で学校に通えない子供たちには、フリースクールなど多様な場で、自信を持って学んでいけるような環境を整える。子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されることがあってはならない。奨学金を拡充し、希望すれば誰もが高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整える。一人親家庭の支援も充実させ、子供の貧困の問題に取り組む。子供たちには無限の可能性が眠っている。誰でも本人の努力次第で、大きな夢を紡いでいくことができる。そうした社会をつくりあげていきたいと思う。

■介護離職ゼロへ

 第3の矢は、安心につながる社会保障の構築だ。社会保障は高齢者のみなさんのみならず、現役世代の安心も確保するものでなければならない。そうした観点で、社会保障制度の改革、充実を進めていく。特に仕事と介護の両立は大きな課題だ。私は、介護離職ゼロという明確な旗を掲げたいと思う。直近の調査で、介護離職者が初めて年間10万人を超えた。離職を機に高齢者と現役世代が共倒れしてしまうという悲しい現実がある。東京五輪が開かれる2020年には、団塊世代が70歳を超え、その数はさらに増えていく。日本の大黒柱である団塊ジュニア世代が大量離職する事態となれば、経済社会は成り立たなくなる。その危機は、もう目前に迫っている。今ここから始めなければならない。介護離職ゼロを目指して、介護施設の整備や介護人材の育成を進め、在宅介護の負担を軽減する。仕事と介護が両立できる社会づくりを本格的にスタートさせたいと思う。急速な高齢化の進展、社会保障負担の増加、単にそう考えれば、これはピンチでしかない。しかし豊富な経験や知恵を持つ人材が増えるととらえれば、これは大きな、大きなチャンスだ。意欲あふれる高齢者のみなさんに社会の担い手として、もっと活躍していただく生涯現役社会の構築を目指す。

■「少子高齢化に真正面から挑戦」

 予防に重点化した医療制度へと改革を進める。企業による健康経営、健康投資を促すような仕組みを作り上げる。同時に、高齢者に多様な就業機会を提供していく。年金も含めた所得全体の底上げを図ることで、高齢化社会の充実を支援していく。継続こそ力だ。経済の再生も、外交上の国益の確保も、経済の安定なくして成し遂げることができない。これが3年間で学んだ大きな教訓だ。その意味で、一昨年の参議院選挙、さらには昨年の衆議院選挙で、安定した政治を進めよ、と与党に大きな力を与えてくださった国民のみなさまに改めて感謝申し上げる。だからこそ、私たちは現状に満足してはいけない。数の上にあぐらをかいて立ち止まっていてはいけない。この安定した政治基盤を大きな力として、長年手つかずであった日本社会の構造的な課題である少子高齢化の問題に、私は真正面から挑戦したいと考えている。

 30、40年、そして50年先を見据えながら、私たちの子や孫の世代のために、新たな国造りを進めていく。1億総活躍の時代を切り開くため、これからの3年間、全身全霊を傾注していく覚悟だ。私からは以上だ。


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