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シニアから幼児まで3世代消費を取り込んで復活の途上にあるファミリーレストラン。しかし、ここにきて今年前半までの勢いに陰りが見えて、客数が減ってきた。景気回復の流れに乗って高価格帯の商品などを充実させた結果、あまり外食にお金をかける余裕のない家庭などの客足が遠のき始めているようだ。一方で、消費の二極化を反映して高価格帯のメニューは依然として好調。各社ともメニュー開発などで中間層以上の取り込みにしのぎを削る。

採録

ファミレスに異変、節約志向で客足鈍る 
(1/2ページ)2014/11/26 7:00日本経済新聞 電子版

 シニアから幼児まで3世代消費を取り込んで復活の途上にあるファミリーレストラン。しかし、ここにきて今年前半までの勢いに陰りが見えて、客数が減ってきた。景気回復の流れに乗って高価格帯の商品などを充実させた結果、あまり外食にお金をかける余裕のない家庭などの客足が遠のき始めているようだ。一方で、消費の二極化を反映して高価格帯のメニューは依然として好調。各社ともメニュー開発などで中間層以上の取り込みにしのぎを削る。

■増税対策講じても客足戻らず

 「6月から低価格帯のお客が減っている」。11月14日、ファミリーレストラン最大手、すかいらーくの2014年1~9月期の決算会見で寺口博取締役はこう解説した。純利益は前年同期比20%増の70億円と好業績だったものの、「ガスト」「バーミヤン」など既存店の客数は6月以降、前年同月を2~6%程度下回っている。寺口氏は「通期でも客数はマイナスになる」と見る。

 客数の内訳を細かく見ると、1人当たりの支払額が400~700円と低めの顧客の来店が落ち込んでいるという。ドリンクバーだけの利用や低単価のセットメニューを注文する人が減っていることがうかがえる。谷真社長は「今は所得よりも生活費が上がるコストプッシュの局面」とみる。4月の消費増税や相次ぐ食品の値上がりなどで負担が増していると感じる人が増え、外食に慎重になっているようだ。

 「増税対策として価格を据え置いた主力メニューが伸びていない」。サイゼリヤの堀埜一成社長の表情は晴れない。同社は消費増税後の客数を伸ばすため、ミラノ風ドリア(299円)など主力商品の価格を増税後も据え置き、実質的に値下げした。しかし、客数はいったん5月に前年比微増となったものの、6月以降はマイナスに戻った。既存店売上高も減少が1年以上続く。

 サイゼリヤの1人当たり支払額は約710円。すかいらーくの主力業態であるガストの同840~850円よりも安い。それにもかかわらず客足を取り戻せないのは、単純に消費者がより安い店へと流れているのではなく、外食そのものを控えているとも見て取れる。

■「1000円超使う客は減っていない」

 「ハロウィーンの仮装行列は楽しかったね」「クリスマスはどんなパーティーをしようか」――。にぎわう店内で、こんな会話が聞こえてくる。

ロイヤルHDの「シズラー」は客単価が2000円近いものの好調。8年ぶりの新店も計画する
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ロイヤルHDの「シズラー」は客単価が2000円近いものの好調。8年ぶりの新店も計画する
 1人当たり支払額が2000円とサイゼリヤの3倍近いにもかかわらず、満席の日が多いファミレスがある。ロイヤルホールディングス(HD)が運営する「シズラー」だ。野菜やデリが食べ放題のサラダバーやステーキなどが売り。東京都内を中心に9店展開しており、桜新町店(東京・世田谷)の駐車場は、平日昼からベンツやBMWなど高級外車がずらり並ぶ。

 好調を受けて、ロイヤルHDは2015年に8年ぶりに新店を出す計画。外食に使うお金に余裕のある家庭が多い都内の高級住宅街の近くに出店用地を探している。主力の「ロイヤルホスト」も、12月からの期間限定メニューで、カニのピラフとサーロインステーキのセット(2354円)などを発売する。シニアなどに人気の高かったステーキをリブロースから厚みのあるサーロイン(240グラムは2354円)に切り替える。保温性の高い陶板の皿に盛って、より上質感を出す。

 すかいらーくのガストも、牛肉の希少部位「ミスジ」を使ったステーキ(税別999円)やフォアグラを載せたハンバーグ(税別799円)などは好調だった。低単価のお客は減少しているが「1000円超を使うお客はあまり減っていない」(寺口取締役)。広島県産カキを使ったメニューなど、付加価値の高い商品の開発に力を入れる。

 「デニーズ」のセブン&アイ・フードシステムズは12月、看板メニューのローストビーフで従来より約2割安い1598円の商品を発売する。「これまでシニアに人気だったが顧客層を広げる」(同社)のが狙いだ。

 景気回復に腰折れ感が広がり、消費税率の10%への引き上げ延期が決まるなか、ファミレスの顧客の変化は続くのだろうか。すかいらーくの谷社長は「今後の成長戦略を描くうえでは、主要顧客である中間層の所得が着実に増えることを見極める必要がある」と強調する。長いトンネルからようやく抜け出そうとしていたファミレス業界だが、再び先行きが混沌としてきた。


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