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ソニーのハイレゾ・ウォークマン「NW-ZX1」

これまで一部の好事家の支持しか取り付けられなかったハイレゾ。しかし、昨年12月に発売され、予想外のヒットを記録したソニーのハイレゾ・ウォークマン「NW-ZX1」によって、その定説は覆った。アップルの参入も噂されるなど、ハイレゾをめぐる状況はここから大きな転換を迎えるかもしれない。突然シーンのキープレイヤーとして前線に躍り出たソニー。その担当者に今後の「ハイレゾシーン」の見通しと同社のヴィジョンを訊いた。

2013年12月に発売されたソニーのハイレゾ・ウォークマン「NW-ZX1」は同社の予想を超える需要を生み、一時在庫切れになった。14年3月に発表されたハイレゾプレーヤー「Pono」は「ハイレゾなんてふつうの人は聴き分けられない」と各メディアが非難するなか、Kickstarterで550万ドル(約6億円)を調達し、Kickstarter史上3番目に資金を集めたキャンペーンとなった。

そもそもハイレゾ音楽配信サーヴィス自体は、数年前から存在している。日本国内では「e-onkyo music」が05年に先陣を切り、08年には「ototoy」が参入し14年3月にはFLACおよびApple
Losslessにも対応している。しかし、コアな音楽ファンを超えてその話題が広まったことはこれまでほとんどなかった。「音楽を楽しむには、音の良さよりも利便性の方が大事。音質なんて一部の人しか求めていない」。それがこれまでの音楽の世界の常識だった。
それがいま、ソニーやアップル、Ponoがハイレゾへの注目を喚起しているのはなぜだろうか。
「ハイレゾプレイヤーこそが、インターネット時代の音楽の常識を覆すイノヴェイションを起こし得るのかもしれない」という仮説のもと、「NW­-ZX1」の開発に携わった、ソニーHES事業本部 V&S事業部事業部長の中川克也と、ソニーV&S事業本部 V&S戦略部統括部長の竹村昌樹に話を訊き、ハイレゾのこれからについて考えてみた。

「値段を無視してやりたいことを全部つめこんだ」というハイレゾ対応のウォークマンNW-ZX1。市価7万円前後という価格にも関わらず、国内で毎週、売上首位を独走した。

宣伝もあまりせず、在庫切れが続いたということはソニーにとっても予想外だった

販売してみて潜在需要を発見した典型的なケースだったと思います。

オーディオファイルだけの楽しみだった「最高に気持ちいい音」が、ミュージックラヴァーに解放される機会が訪れたのではないか

社員たちが自分自身のために、いろいろ勝手につくっていたんですね(笑)。会社の研究費を使って改造品をつくって、机にしまっていたんです。「なんでいままで製品化しなかったんだ?」と聞いたら、「仕事でやってくれと言われたことがなかったので」と(笑)。

なんだかソニーらしいエピソードですね。しかしMP3以降、音楽ファンは音質を求めてないことになっていましたからね。

不安があったのも正直なところです。それで2種類出しました。従来の製品をハイレゾ化したFシリーズと、値段を無視してやりたいことを全部つめこんだZX1です。

結果、高額なZX1の方が連続首位となった。

MP3は、インターネットの通信速度が遅かったから普及した技術です。カオの法則により、通信速度はCPUの進化よりも早く上昇していきます。フランスのQobuz社のように、ロスレスのflacでストリーミングする配信も出てきました。いずれストリーミングでハイレゾが流れる時代も来るでしょう。

8インチのHDDが登場すると、時代はメインフレームからワークステーションへ。5インチが登場するとデスクトップコンピュータの時代へ。2.5インチが登場すると、ノートPCが主流の時代となりました。そして1.1インチのHDDが出るとiPodが誕生し、いまのポストPCの世界へ向かっていくわけです。
数字の変化が、質的変化になる瞬間があり、それが業界に破壊的イノヴェイションを起こす。ハイレゾの音質追求も、MP3の20倍以上というところまで行った。これをヘッドフォンでも体感できるようにして、ミュージックラヴァーも「いい音」を満喫できるようにしたイノヴェイションなのかもしれません。

SXSWにはソニーのエンジニアも参加し、Ponoの試作品を触ってみて、十分戦える自信を得たと言っていました。マーケティング面でも、アーティスト自ら商品企画まで手掛けるニール・ヤングの活躍には感銘を受けております(Pono)。

音楽配信の進歩で、たくさんの音楽を知ることができるようになりました。しかし「知る」というフェーズと、「何度も楽しむ」というフェーズはちょっと違うと思うのです。わたしたちは音楽配信を新しいフェーズへ橋渡ししようとしています。知るのは無限です。しかし本当のお気に入りは有限ですね。無限から有限に移った後の世界を、もっと素晴らしくしようとしているのです。

音楽のコモディティ化は、つくっている人からすると「冗談じゃない」という気持ちがありますよね(笑)。人生かけてつくってるんですからね。

コモディティ化の根本には、「音楽は無料であるべき」という共産主義的な世界観もありました。

現在、オーディオ市場では3つの売れ筋があります。ハイエンドのヘッドフォン、テレビに添えるサウンドバー、それとトランスデューサー(一体型ワイヤレススピーカー)です。今回、すべてのカテゴリでハイレゾの製品を出していますが、トランスデューサーは女性とハイレゾの事も意識して、デザインしています。SRS-9ですね。

みなさん、家庭で音楽を聴かなくりました。夫婦で、それぞれ音楽の趣味が違うというのもありますが、断捨離でまず妻に目をつけられるのが大きなスピーカーなんです(笑)。「あなた月に1度しか聴いてないでしょ」と。それで小型で、デザイン的に存在が消えていて、音がよくて、というコンセプトでSRSシリーズをつくりました。

ZX-1は、お客様自身が製品を持って「すごいぞすごいぞ」とまわりの人に宣伝してくださいました。



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