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居直るJOC竹田会長、馳文科相

採録
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2016年5月19日 日刊ゲンダイ

居直るJOC竹田会長、馳文科相

 ツラの皮の分厚さは、東京都のドケチ知事並みだ。東京五輪招致に絡んだ約200万ドル、日本円にして2.2億円もの裏金疑惑について、当事者たちはガン首そろえてシラを切り続けている。

 招致委員会の理事長を務めたJOCの竹田恒和会長は「支払いはコンサルタント料」「正式な業務契約に基づく対価」と壊れたレコーダーのように連呼。自民党の招致推進本部長だった馳浩文科相は「ロビー活動を展開するため、より核心に触れる情報が必要だった」「多数派工作(のため)で、買収ではない」と居直った。ホント、「バカも休み休み言え」だ。

 竹田会長が「実績のある代理店で、アジア・中東の情報分析のエキスパート」と断言したシンガポールのコンサル事務所の登録住所は、築50年以上の公営住宅の一室。海外メディアは「ペーパーカンパニー」と報じている。馳文科相の言い分に至っては問題外で、カネを使った多数派工作を普通の感覚では「買収」と呼ぶ。苦しい言い逃れは疑念を一層、深めるだけだ。元特捜検事で弁護士の郷原信郎氏は、あきれた口調でこう言った。

「当事者が『フェアな招致活動』を主張するなら、まず疑念を解消できるだけの説明を尽くすべきです。コンサル業務の具体的内容や、2億円を超える支払い対価の合理性などを示さない限り、疑惑は払拭できません。ところが竹田会長は国会で、コンサル事務所との契約書などを自ら確認したと言い張りながら、『守秘義務』を理由に契約書を開示しない。

 コンサル事務所は閉鎖されているのに、何を遠慮する必要があるのか。そもそも当事者たちに『フェアな招致活動』と確信されても困る。フェアか否かは、当事者たちが不明な点を明かして初めて、第三者の評価に委ねるもの。話になりません」

 18日になって竹田会長は「外部の弁護士を入れた独自の調査チームを設立する」と言いだしたが、自分の言い分を聞いてくれそうな弁護士を必死の形相で探していることだろう。恐ろしいまでの当事者意識の欠如である。

■サミットの議題に「腐敗対策」とは笑わせる

 招致委が億単位のカネを支払ったのは、五輪招致が決まった2013年9月前後。同年7月と10月の2度にわたって振り込んだコンサル事務所の代表は、当時のIOC有力者の息子の知人。その有力者こそ、昨年まで16年間も国際陸上競技連盟のトップに君臨、IOC委員を兼任していたラミン・ディアク氏だ。

 13年当時、開催地決定の鍵を握るアフリカ票に絶大な影響力を持つとされたが、最近では汚職にまみれた人物として世界的に有名だ。

「ロシアの陸上選手に蔓延するドーピング違反をもみ消すため、裏金を受け取っていた疑いです。その責任を取って国際陸連の会長を辞めましたが、ロシア絡みの裏金はパリで資金洗浄された疑いがあるとみて、フランスの司法当局が捜査。昨年11月、ディアク氏は収賄の疑いで逮捕されました。仏司法当局が、さらに周辺のカネを洗い出した結果、今回の裏金疑惑が浮上したのです」(国際ジャーナリスト)

 ディアク氏らの汚職を受け、世界反ドーピング機関はすぐさま調査を開始。その独立調査委が今年1月に発表した報告書には、トルコ・イスタンブールの招致委担当者と、ディアク氏の息子の会話の内容として、以下の記載がある。

〈トルコ側は400万ドルから500万ドルの国際陸連への協賛金の要求を断ったため、ディアク氏の信頼を失ったが、日本側は支払ったことで開催を勝ち得た〉

 そして〈ただし、独立委はこの件について、委託された調査項目ではないため、これ以上の調査は行わなかった〉と続く。

 問題のコンサル事務所代表の口座は、ロシアのドーピング隠蔽の際にも使われた上、事務所の名は「ブラック・タイディングス」。ヒンディー語で「黒いカネの洗浄」を意味するというから、もはや笑うに笑えない。ハッキリ言って状況証拠は真っ黒だ。

深刻事態を理解していないのは日本人だけ

 それだけに海外メディアの追及は厳しい。疑惑をスッパ抜いた英紙ガーディアンに続き、AFPやCNNなど欧米の主要メディアも次々と「重大疑惑」として報道。招致委の買収行為を確定的に伝えている。すでに英紙デーリー・メールなどは、東京五輪の招致が不正と判断されることを前提に、「開催地はロンドンに変更される可能性」を指摘しているほどだ。

「コトの深刻さを理解していないのは日本人だけです」と、前出の郷原信郎氏はこう続けた。

「海外メディアにディアク氏との黒い交際を指摘され、名指しで疑惑の目を向けられる電通に遠慮しているのでしょう。裏金疑惑について日本のメディアは腰砕け。五輪招致の当事者たちの言い分を垂れ流すのみです。だから、国民世論も盛り上がりに欠ける。しかし、仏司法当局は今回の疑惑について正式声明を発表。汚職の疑いで捜査中だと明かしています。捜査機関が“手の内”を明かすのは異例中の異例で、それだけ立件に向けて並々ならぬ意欲を示している証拠です。いくら当事者たちがウヤムヤ決着を図ろうとしても、仏当局と国際世論が許しません。国際社会と日本人の認識のズレは、あまりにかけ離れています」

 今月末の伊勢志摩サミットの議題には、「スポーツにおける腐敗対策」も盛り込まれる。議長国がスポーツの祭典における重大疑惑を抱えているのだから、世界中に「どのツラを下げて」と笑われるのがオチだ。最終プレゼンを買って出るなど、あれだけ五輪招致に熱心だった安倍首相は裏金疑惑について、まるで他人事だ。世界に恥をさらすのは「おまえだぞ」と心配になってくる。

■上から下までバレなきゃ平気のムードが蔓延

 それにしても、この国はいつから不正とウソとゴマカシがはびこる社会に成り下がったのか。

 18日も三菱自動車に続き、スズキの燃費データの不正が発覚。2010年ごろから不正を働き、その対象は全16車種、210万台超に上るというから確信犯だ。

 もはや、日本の全自動車メーカーが世界中で疑惑を持たれても仕方がない。

 不正会計問題で経営危機に陥った東芝、杭打ち不正の三井住友建設など、名だたる企業のインチキも後を絶たない。パナマ文書が明らかにしたのも、「バレなきゃオッケー」という感覚で、せっせとタックスヘイブンで節税に励む企業経営者や創業家の裏の姿だ。

 かつて日本では、世間の注目を集める人ほどモラルを要求され、率先して襟を正したものだが、そんな美徳は完全に失われた。シャブ番長の清原被告やゲス不倫の有名人と政治家、ニュースキャスター目前まで経歴詐称を隠し通したショーンKも、要するにバレなきゃオッケー。バレたらバレたで、三百代言を並べ立て開き直る舛添都知事のような恥知らずも増えた。

 メディアも厚顔知事の釈明会見なんてボイコットが筋なのに、お付き合いして形ばかりの批判を浴びせ、薄っぺらな正義を気取る。これじゃあ、ノラリクラリと延命を図るドケチ知事に味方しているのと同じだ。

 日本は上から下までバレなきゃオッケーのムードが蔓延し、モラルもヘチマもない野蛮な国に成り果てている。

「欧米発の新自由主義に基づく弱肉強食の競争社会に毒され、稼ぐが勝ちで、利益が出れば何でもアリの拝金主義が日本中を覆っています。そんな『自分さえ良ければ』の考えは、もはや落ちた犬しか叩かないメディアに限らず、一般の人々に浸透してしまった。大企業や政治家のウソと不正が漫然と見過ごされてしまうのも、国民の側に『自分たちも同じ穴のムジナ』という意識があるからではないか。もっと言えば、儲けるためには、お上に逆らうのは損という考えに染まっている。実に嘆かわしいことです」(政治評論家・森田実氏)

 こんな国民だから、舌先三寸で悪政を続ける政権に高支持率を与え、ペテン首相にアグラをかかせてしまうのだ。

 有権者が最近、お上に逆らうのは損とばかりに「勝ち馬に乗る」のは、05年の郵政選挙以降、一党の圧勝を許してきた総選挙の結果で一目瞭然。羞恥心を失った有権者の意識こそ、すべての腐敗の元凶である。
 


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