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虎屋の掟書

“虎屋の掟書

一、 毎朝六つ時(午前六時頃)には店の掃除をすること

一、 倹約を第一に心がけ、 
    良い提案があれば各自文書にして提案すること。

一、 菓子の製造にあたっては常に清潔を心がけ、口や手などをたびたび洗うこと。

一、 どのような方でもお客さまを訪ねたら長話はせず、
    丁寧にお答えして速やかに帰店すること。
    また外出中に自分の用事で他所へ寄ってはいけない。

一、 御用のお客さまでも、町方のお客さまでも丁寧に接すること。
    道でお会いした場合は丁寧に挨拶すること。

一、 お客さまが世間の噂話をしても、こちらからはしない。 
    また、子供や女性のお使いであっても、 丁寧に応対して冗談は言わぬこと。

一、 仕事はそれぞれが得意なことを励み、上の者が徐々に下へ教えること。

一、 上の者でも手落ちがあった場合は遠慮なく注意しあって
    常に「水魚の交わり」を心がけること。

一、 仲間を組んで悪いことをした者がいる場合は届け出ること。
    もしその仲間であっても抜けた場合は許して褒美も出す。

一、 手代や子供(丁稚)に至るまで、常に書道や算術の勉強を怠ってはいけない。
    そうしなければ、支配人や番頭に昇進することはできないし、
    将来独立して他の商売についても困る。奉公中に精進すること。

一、 親しい方が見せても七ツ時(午後四時頃)までは
    酒肴を出してはいけない。ただし遠来の珍客は別である。

一、 男女はむやみに話してはいけない。

一、 子供の休憩は支配人の指図により決める。

一、 奉公人には毎月二階酒肴を出す。

この掟は子供には難しいところもあるので、大人からよく説明して理解させること。

『虎屋 和菓子と共に歩んだ五百年』より(黒川光博著/新潮新書)”

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