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たとえば、インドのバラモンなどの上級カーストに、サティという風習がありました。インドでは人が死ぬと、一般に火葬をするのですが、夫婦で夫が先になくなった場合に、火葬をしている炎のなかに、未亡人が飛び込んで焼身自殺をするという慣行があった。これがサティです。夫の死を悲しんで自殺をするのは、貞淑な妻の鏡である、素晴らしい行いであるとして、サティが奨励されていた。  ところが、この風習をイギリス人がみて、びっくりするわけです。自殺を奨励するというのは、とんでもないわけです。しかも、夫が死んで、妻が後を追う、という

たとえば、インドのバラモンなどの上級カーストに、サティという風習がありました。インドでは人が死ぬと、一般に火葬をするのですが、夫婦で夫が先になくなった場合に、火葬をしている炎のなかに、未亡人が飛び込んで焼身自殺をするという慣行があった。これがサティです。夫の死を悲しんで自殺をするのは、貞淑な妻の鏡である、素晴らしい行いであるとして、サティが奨励されていた。
 ところが、この風習をイギリス人がみて、びっくりするわけです。自殺を奨励するというのは、とんでもないわけです。しかも、夫が死んで、妻が後を追う、というときに、皆さんは、おじいさん、おばあさんの老夫婦を思い浮かべるかもしれませんが、イギリス人が見た夫婦は全然そんなのじゃなかった。50代60代のお金持ちのバラモン男性が、年をとってから、14歳15歳の花嫁を迎えるということが当時は普通にあった。だから、60歳で死んだ夫を焼く炎のなかに飛び込むのは、まだ子供といってもいい少女たちなのです。これはひどい、と思うよね、普通は。どう考えても、こんな少女が、自ら死にたいと願っているわけがない。早く飛び込んで死なんかい、という親族一同の視線にさらされて、死なざるを得ないように精神的に追い込まれていくというのが、実際のありようだったのでしょう。
 そこで、イギリスは、野蛮きわまりないとして、サティ禁止令を出した。ところが、サティはバラモン身分の者には、自分たちの身分にだけ許された美しい慣行です(低位カーストではサティは行われていませんでした)。それを、一方的に野蛮と決めつけられて、イギリスに反発する。

 サティの風習を禁止すべきかどうかの判断は今は措きますが、こんな感じでイギリス人はインド人のさまざまな風俗習慣を野蛮と感じ、見下す。インド人からすれば、イギリス人とは価値観は違うかもしれないが、インドは3千年以上の歴史を持つ文明国です。一方的に野蛮人扱いされることに我慢できない。シパーヒーたちも、さまざまな不満をイギリス人に対して持つようになるのです。


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