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「枕営業」は不倫ではない?! 東京地裁が仰天判決 裁判官「水商売ではよくあること…」「ソープ嬢と寝ても慰謝料は請求できない」  「枕営業」なら性交渉をしても、客の妻への不法行為にならない-。昨年4月に東京地裁で言い渡され、確定した判決の内容が話題を呼んでいる。従来の判例では、既婚者と分かって性交渉をすればその配偶者に対し不法行為で慰謝料の支払いが命じられてきたが、今回の判決はこの枠組みを真っ向から否定しているからだ。どういう理屈でこの判決が生まれたのだろうか。 「新判例をつくる」と裁判官  「ちょっ

「枕営業」は不倫ではない?! 東京地裁が仰天判決 裁判官「水商売ではよくあること…」「ソープ嬢と寝ても慰謝料は請求できない」

 「枕営業」なら性交渉をしても、客の妻への不法行為にならない-。昨年4月に東京地裁で言い渡され、確定した判決の内容が話題を呼んでいる。従来の判例では、既婚者と分かって性交渉をすればその配偶者に対し不法行為で慰謝料の支払いが命じられてきたが、今回の判決はこの枠組みを真っ向から否定しているからだ。どういう理屈でこの判決が生まれたのだろうか。

「新判例をつくる」と裁判官

 「ちょっと待ってください。なぜですか」

 原告代理人の青島克行弁護士は、判決を残して裁判を終えると突然宣告した始関(しせき)正光裁判官に食い下がった。昨年3月、東京地裁の法廷で繰り広げられた一幕だった。

 「原告の主張が成り立たないからです」と始関裁判官。「議論する気はない。判決文に全部書く。不服があれば上訴すればいい。私は新判例をつくるつもりだ」と述べ、法廷を後にしたという。

 昨年2月に第1回口頭弁論があり、証人尋問も実施されずわずか2回の審理で打ち切られた。

 この裁判は、銀座のクラブのママが客の男性と約7年間にわたり不倫していたとして、男性の妻がママを相手取り400万円の損害賠償を求めていた。

 男性も裁判所に提出した陳述書で「平成17年8月ごろ、店が終わってママと2人で食事し、2人でホテルに入って初めて関係を持った。結婚後初めて妻以外の女性と関係を持ち高揚感があった」と告白。この日を境に月に1、2回、主に土曜日に昼食を取ってからホテルに行くという関係が継続していたという。

 一方、被告のママは「不貞行為の相手は私ではなく別の女性」「クラブで費やした金銭がもったいなくなって、夫婦で協力してその金を取り戻そうとしている」などと反論し、全面的に争っていた。

 裁判の進行は初回から異例だった。昨年2月の第1回口頭弁論で、始関裁判官が「水商売の女性が営業のために客と寝ることはよくあることで、慰謝料請求が成り立つのか」と指摘。

 青島弁護士が反論すると「ソープランドで働く女性が客と寝ても、妻が慰謝料請求することはできないでしょう」と述べたという。弁護士歴10年目だった青島弁護士も仰天した。

 「公開の法廷で誰も主張していないのに、裁判官がソープランドの話まで持ち出すなんて…」

「枕営業は妻に対する不法行為ではない」

 「主文、原告の請求を棄却する」

 昨年4月14日に判決が言い渡されたが、判決理由に再び青島弁護士は目を見張った。「原告、被告双方ともに主張していない『枕営業』の論点を持ち出して判決が下された。完全な不意打ちだ」と怒る。

 判決では、客の不倫相手がクラブのママであったかについては判断をしていない。その上で、仮に肉体関係があった場合について判断を示している。

 まず、クラブのママやホステスが、自分を目当てとして定期的にクラブに通ってもらう客や、クラブが義務づけている同伴出勤に付き合ってもらえる客を確保するためにさまざまな営業活動をしていると強調。そのなかで、客と性交渉をする「枕営業」と呼ばれる営業活動をしているものが少なからずいることは「公知の事実だ」と指摘する。

 さらに、ソープランドに勤務するような女性が対価を得て客と性交渉を行った場合に、客の性的処理に商売として応じたに過ぎないと強調。「客とその妻の結婚生活の平和を害するものでないから、事実を知った妻が不快感などを抱いて精神的苦痛を受けたとしても妻への不法行為にはならない」と指摘した。

 その上で、枕営業の相手の客がクラブに通って、その代金の中から間接的に枕営業の対価が支払われていると指摘。ソープランドに勤務する女性と比べ、「対価が直接的か、間接的なものであるかの差に過ぎない」とした。

 従って、クラブのママやホステスが客と性交渉を継続したとしても、枕営業と認められた場合には「客の妻に対する不法行為はない」とした。

 今回の訴訟でも、始関裁判官は「ママと夫の性交渉は典型的な枕営業と認められ、ママが、夫の妻に対して不法行為をしたことには当たらない」と判断した。原告は「これ以上嫌な思いをするのがいやになってしまった」として控訴せずに判決が確定した。

今回の判例を引っ張って反論するケースも

 今回の判決について、「今までの判例からすると行きすぎた判断だ」と話すのは離婚問題に詳しい長瀬佑志弁護士。昭和54年の最高裁判決で「既婚者と関係を持てば、故意又は過失がある限り、遊びだったか愛情があったかを問わずに配偶者に慰謝料を払う義務がある」との判断が示されて以降、既婚者とわかって性交渉をすれば賠償責任を負うとの考えが定着しているからだ。「本件では特殊な事情があったのか疑問に感じる。不倫が争われる裁判では、不倫した側が今回の判例を引っ張って反論することも出てくるのでは」と話す。

 浮気や不倫調査で業界最大手「ハル探偵社」の浅見俊祐代表によると、同社では月に約120件の浮気調査を受けるが、水商売の女性絡みは約1割という。今回の判決の影響として「反論されないためにホテルに入る写真といった以外に、メールのやりとりや会う頻度など、浮気を裏づける証拠を今以上に多く集める必要が出てくるかもしれない」と懸念する。

 銀座の高級クラブでホステス歴5年の30代女性は「枕営業はあり得ない」と怒る。「うちのママからも『客と関係を持ったら終わり。それ以上営業できなくなる』と厳しく言われている。所詮酔った状態での関係だから長く続かないし」。

 さらに「ホステスが千人いれば千通りの営業方法があり、なかには枕営業している子もいるかもしれない。でも、私は『恋愛に発展するかも』という一歩手前のときめきやわくわく感を売る仕事だと思う」と話した。


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