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万の事は頼むべからず。 愚かなる人は、深く物を頼む故に、恨み、怒る事あり。 勢ひありとて、頼むべからず。こはき者先づ滅ぶ。 財多しとて、頼むべからず。時の間に失ひ易し。 才ありとて、頼むべからず。孔子も時に遇はず。 徳ありとて、頼むべからず。顔回も不幸なりき。 君の寵をも頼むべからず。誅を受くる事速かなり。 奴従へりとて、頼むべからず。背き走る事あり。 人の志をも頼むべからず。必ず変ず。 約をも頼むべからず。信ある事少し。 身をも人をも頼まざれば、是なる時は喜び、非なる時は恨みず。 左右広ければ、障らず

万の事は頼むべからず。
愚かなる人は、深く物を頼む故に、恨み、怒る事あり。
勢ひありとて、頼むべからず。こはき者先づ滅ぶ。
財多しとて、頼むべからず。時の間に失ひ易し。
才ありとて、頼むべからず。孔子も時に遇はず。
徳ありとて、頼むべからず。顔回も不幸なりき。
君の寵をも頼むべからず。誅を受くる事速かなり。
奴従へりとて、頼むべからず。背き走る事あり。
人の志をも頼むべからず。必ず変ず。
約をも頼むべからず。信ある事少し。

身をも人をも頼まざれば、是なる時は喜び、非なる時は恨みず。
左右広ければ、障らず、前後遠ければ、塞がらず。
狭き時は拉げ砕く。
心を用ゐる事少しきにして厳しき時は、物に逆ひ、争ひて破る。
緩くして柔かなる時は、一毛も損せず。

人は天地の霊なり。
天地は限る所なし。
人の性、何ぞ異ならん。
寛大にして極まらざる時は、喜怒これに障らずして、物のために煩はず。
徒然草 第二百十一段

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聖書の翻訳でも、古い翻訳が語感も良くてありがたいという人も多い
単に馴染んでいるということかもしれない
古い文章のほうが対句などが自然に響くように思う

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