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(慢性うつ病の新療法:CBASP =Congnitive-Behavioral Analysis System of Psychotherapy; 認知行動分析システム精神療法

CBASPの8つの特徴 
CBASP=アメリカの新しい心理療法
(慢性うつ病の新療法:CBASP)

第2章 慢性うつ病患者とCBASPプログラムについての序説 
 アメリカで開発された慢性うつ病の心理療法の概略をみていく。
 第2章に、慢性うつ病の従来の治療法の効果とCBASPの特徴が述べられる。
 次に、CBASPの特徴について。
CBASPの独自の特徴

 CBASPの8つの特徴があげられている。

1)CBASPプログラムは慢性うつ病を治療するためにデザインされた


2)成熟発達の停止が慢性うつ病の病因とみなされている
 (3章に詳細を述べる)
 早発性(21歳以前に発症)の慢性うつ病患者認知情動システムが未熟な発達段階にあるとする。

晩発性は、別の要因で起きる。
 「早発性の患者および晩発性の患者のいずれにおいても、慢性うつ病患者の精神病理を遷延させたり増悪させたりするのは、認知ー情動についての構造的な問題なのであって、否定的な態度や信念といった機能的な問題ではない。」(13頁)


3)CBASPはうつ病、およびうつ病圏の病気を「個人X環境」の相互作用という見地から概念化する

 「患者個人と環境との相互作用において働いているいくつかの要因が互いにダイナミックに影響し合うことから、うつ病が発症すると考えている。」(14頁)


4)社会的問題の解決に形式操作を用いることと、他者と共感的に交流することができるようになれば、CBASPプログラムをマスターしたことになる


5)治療者は患者の行動を変容するために、規律正しい方法で、患者と個人的に関与することが推奨されている


6)特別な注意を要する対人的なホットスポットを見定めるために転移仮説を設定する


7)CBASPでは、セッションにおいて患者の精神病理を際立たせるために状況分析(Situational Analysis;SA)を用いる


8)CBASPでは患者の行動を変容させるために、負の強化を主要な動機付けの方略として用いる

自己責任

 「私は、慢性うつ病と対処失敗は密接に関係していると信じている。私はまた、慢性うつ病患者は自分のうつ病に対し最終的に責任があるという意見を支持している。」(15頁)

 「患者は自分の行動が対人関係の帰結を招いていることを教えられ、どうすればこれらの帰結を認知できるかの術を教えられる。その後同じパターンを続けることを望むかどうか決めるのは、患者の責任である。」(16頁)

 「患者は自分がどのような人生を創り上げてきたかに気づくようになって初めて、前とは違う方法で生きるという選択をすることができるようになるのである。
 慢性うつ病の患者が自分のうつに責任があると私が想定するのは、自分の人生の生き方は選ぶことが可能なのだと信じる見方に由来する。選択ができなければ、患者は責任を持ちえない。経験の奴隷にとどまる。」(16頁)
 「私」は、マカロウ氏である。慢性うつ病は、(たとえ、社会のしくみやいじめなど他者によって起きたとしても)、病気そのものは、自分が変わらないと治らないというのである。


「慢性うつ病の精神療法~CBASPの理論と技法」
原著者:ジェームズP・マカロウ、
監訳者:古川壽亮(名古屋市立大学)、大野裕、岡本泰昌、鈴木伸一
発行:医学書院、2005/11/1、定価:5775円
CBASP=Congnitive-Behavioral Analysis System of Psychotherapy; 認知行動分析システム精神療法
(慢性うつ病のみに開発された精神療法である)










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