ベルトコンベアに乗ってきて次々に消えてゆくイメージ そういえばさっきのあれが、と思った時にはすでに手遅れで もう見つからない
通り過ぎる情報について
あとで確認しようと思っても
探せないこともある
どこかにあることは確実だとしても
探すことは難しい
ベルトコンベアに乗ってきて次々に消えてゆくイメージ
そういえばさっきのあれが、と思った時にはすでに手遅れで
もう見つからない
スクリュー型プロペラ人工心臓
“キリンは法律上、ペットとして飼育できる。これは日本国内で個人が飼育できる最大の陸上哺乳類である。”
古びたものをありがたがる風潮
金ピカの仏像よりも
古びた仏像のほうがありがたい感じはある
教えも古いからだろう
iPS細胞の関係ならば新しいことが信仰の対象になるのだろう
“「どうやって直すのかわからないものを、こわしつづけるのはもうやめてください」”
「売れているのが良いもんなら、世界一うまいラーメンはカップラーメンだ。 」
人間の運命というものは、 99.9%が成功しないものだ。 成功者でないほうがより人間的な運命だ。 岡本太郎
運動が必要なのは、それがストレスを減らしてくれて、食欲を減らすことにつながるからです。
・どうせ一年後には忘れてることだから ・命まで取られるわけじゃない ・この広い宇宙に比べたら・・・ この3つで何でも乗り越えられる
“年を重ねるにつれていろんな世界を知って周りに優しくなる人がいる一方で、どんどん自分の世界を強固なものにして他人に厳しくなる人がいる”
2013年桜満開
というほど大きな絵柄ではないのだが
水に浮かぶ桜の花びらを見ると
自分がこの程度のものにもしみじみとしているということを思い
これも老いの兆候かと受け入れている
東京は今日2013年3月29日、桜の満開をやや過ぎたあたりで、
散る花びらが地面をきれいに飾っている
おびただしい花弁の数であるが
満開の桜はどう見ても完全で
どこから溢れて散ったのだろうかと思う
生命の豊かさとはこのようなものなのだろう
今年は東京の桜は異例なほどに開花が早かったので
入学式までは持たないだろう
桜が咲いてから後、寒い日もあり、
これも例年のことなのではあるが、
毎年改めて桜が咲いたのに寒いですねえなどと挨拶をしていて
この変わりのない様子が不思議でもある
今日は少し暖かさを感じる
29日で金曜日、
4月1日は月曜日なので
会社では今日が区切りの日になる
いろいろな人間関係の変わり目の日でもある
去るものは日々に疎しということで
今のあふれる程の強い愛情や
深い感謝の思いも
やがて遠く懐かしく優しい手触りになる
スギ花粉はほぼ終了し
現在はひのきと中国からの黄砂の影響があるらしい
政治状況としてはなんとも前のめりな浮ついた発言が飛び交っているようだ
振り返ってみればあの頃は躁状態であったと確認されるのだろう
遠い将来の目標よりは
一日一日を意義深いものにする努力がますます必要になると感じている
現実の隣人をいかにして愛することができるか
それが問題だと感じている
“個人的に好きなエピソードは、中島らも氏か町田康氏かリリー・フランキー氏が体験した話で、定食屋かソバ屋のじーさんがいて、仏のような人格者だった。どんな客が来てもいつも笑顔で礼儀正しい。こんないい人はいないと言うと、じーさんは謙遜する。 で、みんなでご飯注文したら、じーさんの奥さんであるばーさんが食器を運ぶ。で、なぜかばーさんが手違いで箸を落とした。 じーさんは、その場でばーさんを「お客さんになにしてんだ、ババァ、死ね!」みたいな感じで罵り、鉄拳と灰皿か食器で殴って出血。ばーさんは鼻血を出してのたうつ。
“透明な募金箱には、あらかじめ見せ金を入れておく。 すると、募金の集りがよくなることがわかっている。 路上パフォーマンスでは、サクラを使って盛り上げる。 周囲もノリやすくなるからだ。 書籍を売りたければどうするか? 「一番の売れ行き」とか「伸び率最高」というPOPをつければいい。 書籍が良いものであることを説明する必要はない。 多くの人が買っていることさえ、伝えればいい。 自分で何を買うかを決められる人は、全体の5%だけ。 残りの95%の人は、他人のやり方を真似する人たちです。
“もうちょっと全体的にゆるいというか、いい加減なほうがみんな幸せになれるのかも。例えばメールとか手紙を送っても90%くらいしか届かないとか、電車は平気で30分くらい遅れたり突然運休したりするとか、信号とか自動販売機とかちょくちょく故障しているとか、そういうのを『まあしょうがないね』ってみんなで言うようになれば、みんな幸せになれるのかも。” もうちょっといい加減なほうが幸せになれるのかな
“ 1.昼に眠気がくるのは当たり前のことだと考える 1日に2回眠気のサイクルがあり、一般的に午前2時から午前4時の間に一回、午後の1時から午後の3時の間にもう一回眠気がくるそうです。人によって個人差はありますが、一度きた眠気の後、約10時間後に再度眠気がくるとのこと。以前は食事をとると眠くなると言われていましたが、現在は食事とは関係ないとされているようです。 2.眠る時間によって効果が異なる 20分前後のうたた寝をとると、集中力をアップする効果が得られる。まだ本格的な睡眠に入っていないため、目覚めはスッ
第32章 いったいパーソナリティ障害患者は変わるのだろうか?
第32章 いったいパーソナリティ障害患者は変わるのだろうか?
ポイント
・精神療法でパーソナリティが変えられると期待しない方がいい。
・ある種の傾向は治療とともに変更が加えられて、行動を変えるに至る。
・どの傾向と行動が不適応なのかをつかむ。
・どの感情がどの行動を引き起こしているのかを観察し、必要なら別のテクニックを使う。
・多くの場合患者は幸せな結末を迎えない。
パーソナリティ障害のある種の特徴(例えば、安定、変化に抵抗、扱いにくい)について言えば、改善をもたらすには、強力な治療が必要である。
—-Handbook of Personality Disorders , ed. Jeffrey Magnavita
我々は何とかして適応的な自我を保持して、様々なストレスに対して伸縮し弾力的に(resilient)対応する。
残念なことにパーソナリティ障害の患者はコントロール多すぎか、コントロール少なすぎかのどちらかであることが多い。どちらの極端も不適応と考えられる。
パーソナリティ障害に対して試みられた新しいタイプの精神療法がいくつかある。認知行動療法(CBT)、弁証法的行動療法(DBT)、対人関係療法(IPT)、問題解決療法(PST)。精神分析や精神力動的精神療法のような伝統的な精神療法も現在もよく用いられている。目標焦点型集団療法もパーソナリティ障害患者に有効な治療の1つである。薬物療法は多くの患者に必要である。
認知行動療法(CBT)は比較的短期間で、焦点を絞った精神療法で、患者がどのように考えているか(認知)、行動するか、コミュニケートするかを考える。精神分析に比較して過去(子供時代)よりも現在に焦点を当てて考える。研究結果では認知行動療法(CBT)はうつ病、不安症、OCD、恐怖症、Ⅰ軸障害に有効である。認知行動療法(CBT)をⅡ軸障害に試みた結果は、長い期間が必要であること、転移を扱う必要があること、過去(子供時代の歴史)を考える必要がある事がわかった。認知行動療法(CBT)の最初の考えは、「気分や行動は認知の産物である」という基本的な仮定である。ある刺激が患者に自動思考(AT)を引き起こす。パーソナリティ障害の場合は不適切な自動思考である。自動思考は肉体的反応、気分変化、機能不全行動を引き起こす。
自動思考は中核信念(CBs)に由来している。Ⅰ軸障害の多くの人は肯定的な中核信念も否定的な中核信念も持っている。しかし多くのⅡ軸患者では主に否定的中核信念だけを持っている。パーソナリティ障害患者の持つ根深い否定的中核信念としては、たとえば「私が悪い。弱くて頼りなくて、醜くて、気味が悪い」。パーソナリティ障害患者は侮辱に対して敏感であり、そのことがまた彼らの中核信念を否定的に強める。
小児期初期の虐待はパーソナリティ障害患者に破ることのできない固い思考パターンを植え付ける。
パーソナリティ障害の人はうつ病のようなⅠ軸障害をに対処するために治療を開始するのだが、中核思考を問題にするとなれば、長期間を要し、治療者は治療者ー患者の相互関係を意識する必要がある。
キーポイント
多くのパーソナリティ障害患者では基本的なコミュニケーション・スキルに欠けている。
医師は患者に教えようとしているテクニックを患者が理解するとは思わないほうがいい。回避性パーソナリティ障害患者は「人々が私を拒絶するだろう」と思っているので、自分から人々を回避する。患者は人々に関する自分の自動思考を検証してみて、自分の回避を解決しなければならない。治療者は回避性パーソナリティ障害患者に、人々に受け入れられている状態についてイメージできるように援助する。
パーソナリティ障害患者が、いつも慣れ親しんだシナリオ以外のシナリオを想像して見ることは非常に難しいことだ。宿題もやってこないので、治療には長期間を要する。境界性では人生初期の家庭環境が危険で不安定だったので、コミュニケーションは特に難しい。彼らは他人を悪人と思い、自分を出来損ないで力がないと思っている。認知行動療法治療者が境界性パーソナリティ障害患者に対応するとき、第一の問題は、患者のアンビバレンツを認容するような治療関係を築くことである。いったんこの治療関係が形成されて、次に症状にとりかかる。その時初めて自動思考が問題にされて、中核思考が明らかにされる。治療は患者が我慢していられるうちは何とか続いて、そのうち患者は治療者を拒絶する。治療者は柔軟で適応的でなければならない。それは境界性パーソナリティ障害患者の性質と反対である。
弁証法的行動療法(DBT)はもともと境界性パーソナリティ障害患者の治療のためにリネハンによって開発された。研究によれば、気分障害や他のパーソナリティ障害に有効である。弁証法的行動療法(DBT)では感情制御の技術を学ぶのだが、まず感情の正体を知り、名前をつける、そして嫌な感情に対しての忍耐を養い、一方では肯定的感情を増やす。患者はマインドフルであることを学び、有効な対人関係を学び、自分の感情を客観的に認識することによって制御することを学ぶ。自傷行為や自殺が最初に考察され、次に治療を妨げるすべての行為が考察される。弁証法的行動療法(DBT)はアサーティブネス・トレーニングのようなところがある。患者は自分に必要な物を他人に依頼することを学ぶ。彼らは治療者や集団と「対話」する。特に有効なのは我慢であり、それが教えられる。生き延びるために、患者は気晴らしをし、自分を落ち着け、そのときの「いま」を改善し、損得をよく比較して考えて行動できるようになる。
対人関係療法(IPT)は時間制限精神療法の一つで、1970年代に単極性うつ病の患者のために開発された。
現在では双極性障害、不安性障害、パーソナリティ障害にも用いられる。精神力動的精神療法が対人関係療法(IPT)の生みの親であるが、過去に遡らず、対人関係スキルの改善に焦点を当てる。
認知行動療法(CBT)と似ているのは、時間制限的で、構造化されている点であるが、認知ではなく感情を扱う点が違う。
また、支持的社会ネットワークが強調される。例えば、自己愛性パーソナリティ障害では、患者が他人をどのように見ているかを知るために、患者の現在の対人関係を見なおすことが求められる。
もし患者が他人は患者をたとえば利己的でけちだと見ていると気づきが得られたら、対人関係療法(IPT)のゴールのいくぶんかを達成している。
問題解決療法(PST)は、認知行動療法の一つで、患者は問題解決の態度と技法を学ぶ。根本の考えは、生活の質を向上させ、精神病理的な部分を減少させることである。
1971年にD’Zurilla と Goldfried によって始められ、Nezu と Perri によって年月をかけて洗練された。
PSTの基礎は社会的問題解決の心理社会的構築は精神病理学と関係しているとするものである。
この療法の理論的背景は、社会的問題解決と呼ばれ、日常生活の中でストレスを感じるさまざまな問題に対して、その問題を取り扱うのに有効な解決策の選択肢を見つけ出し、それらの中から最も有効な手段を見つけ出そうとするプロセスと定義されています(D’Zurilla & Goldfried, 1971)。
この社会的問題解決における問題とは、なんらかの障害により、そうありたいと思う状態(What I want)と現在の状態(What is)が不一致であり、効果的な解決策(コーピング)がとれない状態のことです。
そして、効果的な解決策とは、ポジティブな結果(ベネフィット)を最大にし、ネガティブな結果(コスト)を最小にするように、問題に対処する(目標を達成する)ための取り組み(コーピング)のことです。
PSTの5つのステップ
認知行動モデルでは、問題場面において、個々人が持っている認知的スキルや行動的スキルが情緒的反応や心理的適応を引き起こす媒介的役割を果たしているとされています。
D’ Zurilla & Nezu(1982)によれば、効果的な問題解決を行うには、相互的に作用する5つの認知行動的スキルが必要であるとされます。PSTは5つの認知行動的スキルを効率的に学習させることを目的とした認知行動療法の一技法です。
PSTは、図1-1に示したように、ステップ1「問題解決志向性」、ステップ2「問題の明確化と目標設定」、ステップ3「問題解決策の産出」、ステップ4「問題解決策の選択と決定」、ステップ5「問題解決策の実行と評価」の5つのステップから構成されています。
PSTの有効性については、メタアナリシスが行われています。
Cuiper et al. (2008)は、合計53の独立した無作為化比較試験のデータを対象として、軽度(mild)から中程度(moderate)の抑うつの成人に対する7つの主要な心理療法(認知行動療法、非指示的心理療法、行動活性化療法、精神力動的心理療法、PST、対人関係療法、社会的技能訓練)の効果の比較を行っています。
その結果、PSTは対人関係療法よりは効果値が低いが、非指示的心理療法よりは効果値が高く、その他の主要な心理療法とは同等の効果があることが示されています。さらに、ドロップアウト率に関しては、問題解決療法が最も低いことが明らかとなっています。
人々は生活の問題を問題解決指向性と問題解決スタイルとによって解決する必要がある。
問題が難しいと思われても、それを脅威で解決困難と考えてしまうよりはいいだろう。
精神力動的精神療法では意識的や無意識的な感情問題について探索して見ることを励まされる。現在ではもっとも一般的な治療である。時間制限的でもないし構造化されてもいない。この淵源は古典的精神分析にある。パーソナリティ障害の患者はこの治療の柔軟性や適応性の恩恵を受ける。多くの患者は対人関係で反復する不適応なパターンにはまりこんでいる。パーソナリティ障害患者でなれけば、この治療法でさらに顕著な変化を達成するだろう。しかしパーソナリティ障害患者であっても、精神力動的精神療法によりいくらかの進歩はする。
古典的な精神分析は催眠から発達した。治療目標は未解決のトラウマを思い出し、解除反応を起こし、解決することである。パーソナリティ障害患者の問題の根源は多くは過去にあるので、精神分析も治療選択肢の一つになる。
多くの精神科医や精神療法家が100年以上に渡り精神分析によってⅡ軸障害を解決しようと試みてきたが成功していない。
患者に要請される基本的なルールはすべてを話すこと。無制限に。治療者は積極的な自由に漂うような注意をもって聴き入り、しかしほとんど治療者は影響を与えない。カウチがこの治療者の受動性に役立つ。精神分析的技法では衝動的な行動は回避すべきだと強調される。演技性や境界性の衝動的な人に対して適用される。自由連想は精神分析のもう一つの基本的な手法であり、多くのパーソナリティ障害患者の気持ちを軽くする。転移はⅡ軸患者の多くでは強烈で未解決なものにならざるをえない。コフートやカーンバーグは、自己愛性や境界性のような分析不可能な患者の精神分析を試みたことで有名である。
キーポイント
精神分析では、不健康な防衛機制を解除し、患者の自己洞察を促すことにより、性格構造を認識することが常に目標となる。
最近では、パーソナリティを変化させる治療は期待されていない。新しい精神療法は性格傾向を調整しようとする。衝動性や外向性のような性格傾向を調整し、行動を変化させる。
境界性パーソナリティ障害の傾向を減少させることができた患者を私は一人だけ知っているが、4年間精神分析に通っていた。
症例スケッチ
エイドリアンは44歳、秘書の仕事で働いてせっせと貯めたお金を精神分析に使おうと決心した。私は彼女が精神分析を受けることには懐疑的で、集団療法の中での方がうまくやっていけると思ったし、支持的精神療法が向いていると考えた。彼女は私にうつ病の薬物療法を相談していた。私の処方はゾロフト100mg/日で、不眠と憂うつ気分、過食、自殺念慮が改善した。私は数年に渡り彼女と月に一回面接していた。うつ病は寛解に至ったが、彼女は週に2、3回の精神分析を続けていた。私との治療の始めの頃に、彼女はしばしば不機嫌になり敵意を示し、私が彼女を嫌っているのではないかと疑っていた。実際は私は彼女を嫌っていなかったが。
ある日は私がall bad になっていて、精神分析家が all good になっていた。一ヶ月後には、私はgood one になっていて、分析家がbadになっていた(保護的でなく何か策動していると思ったらしい)。彼女はしばしば見捨てられたと感じ、ボーイフレンドやガールフレンドと強烈で不安定な対人関係を続けていた。むちゃ食いをして過食症だった。彼女の怒りは最悪の経験だった。彼女の緊急ではない電話を受けてから時間内に折り返しの電話をしないと彼女は激怒した。私のクリニックで彼女はしばしば怒りを発散していたものだ。
4年経って、私は彼女が「丸くなってきた」と感じていた。私は精神分析のおかげで変化したのだと考えた。彼女の怒りはかなり改善した。もはや見捨てられる不安を呈していなかった。私とも彼女の友人とも喧嘩しなかった。人々はall good でもなくall bad でもなかった。気分は安定し、彼女は素晴らしい変身をしたように見えた。治療によってこんなにも変わった患者は初めてだった。
パーソナリティ障害患者が大うつ病、双極性障害、精神病、不安性障害に苦しんでいる時には薬物療法が不可欠である。大うつ病にはSSRIを用いる。例えばゾロフト、プロザック、セレクサ、レクサプロ、ルボックス、あるいはイミプラミンのような三環系抗うつ薬。Effexor,Wellbutrin,サインバルタは、ノルエピネフリン系やドパミン系に作動する抗うつ薬である。新規抗うつ薬が常に開発され続けている。
双極性障害患者には気分安定薬が必要となることがしばしばである。テグレトール、Depakote,Topimax(トピナ),などがしばしば抗うつ薬と一緒に使われる。
抗精神病薬はSterazine(トリフロペラジン),Halodol(ハロペリドール)ような古いタイプのものから、エビリファイ、リスパダール、セロクエルなどのような新しいものまである。
抗不安薬としては、各種ベンゾジアゼピン、Klonopin(クロナゼパム),Xanax(アルプラゾラム),Valium(ジアゼパム)が使われる。
パーソナリティ障害患者はしばしばAmbienやロゼレムのような睡眠の薬を使う。
我々精神科医は必要な薬剤を決定する際のベストドクターである。
第31章 ディメンショナル・モデル
第30章 パーソナリティ障害と身体医学的疾患
第29章 パーソナリティ障害、PTSD、身体表現性障害
第28章 パーソナリティ障害と物質乱用
第27章 パーソナリティ障害と文化要因について
第26章 パーソナリティ障害と性別について
第25章 クラスターCの治療の手がかり
ポイント
・クラスターCには回避性、依存性、強迫性パーソナリティ障害が含まれる。
・クラスターCの患者は恐怖を感じ、不安である。
・クラスター分けの根拠には限界がある。厳密に検証されたものではない。
・身体病がクラスターCを引き起こすことがあるので除外診断が必要である。
母が死んだら私も一緒にお墓に入ります。
-----依存性パーソナリティ障害患者。母が死んだらどうするかと尋ねられて。
クラスターCの人は対人関係での過剰な恐怖、抑制、不安がある。古典的な研究では幼稚園に行く前の子供をマジックミラー越しに観察する。子供たちは観察されていることを知らない。このような早期の段階であっても、潜在的にクラスターCの子供は孤立して、部屋の隅で遊び、他の子どもと遊ぶことを恐れている。もっと普通の子供は部屋の真中でお互いに他人と関係しながら遊ぶ。こうした抑制的な人格傾向は発達の早期に見られ、その後人生を通じて安定して観察される。不安な気質は回避性または依存性パーソナリティ障害につながる。クラスターCの人は家族メンバーにしがみつき、自分の行動に自信がない。強迫性パーソナリティ障害患者は、おそらく子供の頃から働きもので感情抑制し、完璧癖がある。しかしこれが本当かどうかを確認する研究はまだ実行されていない。
回避性パーソナリティ障害では批評されたり社交場面で拒絶されたりすることに極端な恐怖を抱いている。恥ずかしがりで、物静かで、抑制的な傾向がある。他人に反抗することを恐れている。一方で依存性パーソナリティ障害では、他者からの世話を得たいと過剰なほどに切望している。依存的な人たちもまた不安が強く恐怖があるのだが、彼らは他人に頼ることで不安を解消しようとする。
強迫性パーソナリティ障害では、患者は対人関係コントロールと秩序と完璧に心を占められている。彼らはコントロールを失うことを恐れているので、容易には他人と一緒に仕事をすることができないし、他人に従うこともできない。
脳の構造としては不安と恐怖に関して最もしばしば言及されるのが扁桃体である。この部分で恐怖刺激に反応し、感情が記憶と結合している。
クラスターC患者はすべてを犠牲にして「害を回避する」ことを望む。彼らは他の人が害を及ぼすかどうかを見る。新しい状況と新しい仕事に恐怖を覚える。これらは「害の回避」のパーソナリティ・ディメンジョンを持っていることを示している。これらの患者はずっと安定していたいと望む傾向にある。
キーポイント
パーソナリティ障害をクラスター分類することは、これらを分類するひとつの方法にすぎない。パーソナリティ障害の全般を見渡すには限界がある。
クラスター分類の妥当性については検証されていないし、多くの医師はこの見方に関して懐疑的である。それにも充分な理由がある。研究者はそれぞれの分野で診断分類の妥当性について検証する必要がある。このことはクラスターCではまだ実行されていない。多くの研究はクラスターBに関してのもので、特に境界性パーソナリティ障害についての研究が先行している。
クラスターCの診断にあたって特に重要なのが身体病の除外である。回避性パーソナリティ障害ではアルコールやマリファナを使用する場合があり、それらは他人からのひきこもりの原因になる。依存性パーソナリティ障害ではてんかん、糖尿病、メタボリック・シンドローム、その他の身体病が存在することがあり、それらの身体病のせいで、彼らは人生の最初から他者に過度に依存することになる。これらの患者の多くでは、たとえ可能であったとしても、自立の訓練はされたことがない。
強迫性パーソナリティ障害では、コカイン中毒やトゥレット症候群、その他の身体病があることがあり、過度に良心的になり柔軟性をなくしていることがある。
症例スケッチ
患者は56歳の主婦、結婚して34年になる。彼女は一人暮らしをしたこともないし、家の外で働いたこともない。
4年の間うつ病の消長を繰り返し、夫が彼女を一人にするなら自殺すると家族に話したので、治療が始まった。
夫は58歳の弁護士で結婚期間を通じて妻と二人の息子を支えてきた。彼自身が重症うつ病で入院することになってとうとう離婚を決意した。精神療法を通して、家族全体の唯一の養い手としての自分の立場を悔やんでいることを認識した。退院してすぐ彼は妻に離婚書類を手渡した。
妻は困惑した。1週間後、二人の息子によれば、彼女が家に閉じこもり、食事、洗濯など普段の活動が何もできなくなっていた。彼女が望んだことは眠ることだけ、起きた時は彼女は泣いて運命を嘆いた。彼女が自殺を図ろうとした時、息子たちは警官を呼んだ。警官は彼女を救急施設に運び、そこから精神科のうつ病病棟に入院になった。
前回の入院時に患者はたいていの抗うつ薬を試していて、唯一効果があったのはMAOIのNardilだった。
病院ではEffecxor 300mgが投与され、2週間後に退院となった。
退院後に精神療法が始まった。最初の面接の時、彼女は軽装で小奇麗にして年齢相応に見えた。初回面接の間中泣いていたので何も話せなかった。彼女はもう入院はしたくないと訴えた。彼女の入院生活はそれほどの恐怖だった。夫は日常の細かいことまですべて指示していた。どのパスタがいいとかどのファンドに投資するとか。その後のどの面接でも夫を失うことをヒステリックに泣くことから始めた。夫なしでどのように生きて行ったらよいか分からなかったからだ。夫が役割を変更して以来、彼女は息子たちに責任を引き受けて欲しいと願っていた。
治療方針としては彼女に自分のことを自分で決めるように導こうとしたが彼女は抵抗した。そもそも夫が彼女にとって魅力的だったのは支配的で取り仕切る性格だったからだ。妻には意見を述べる余地はなかった。そして彼女はランチのお店はどこがいいか心配していればよかった。いま一時的に収入が減らされてしまい、贅沢品、マニキュア、デザイナー・ドレス、ヘアー・ドレッサーなしでどうやって生き延びたらいいのか途方に暮れていた。息子たちは離婚協議が終結したら、かなりの財産を得て働く必要はないと保証した。
彼女の一番苦しい時間は朝で、孤独で非常に不快だった。自分のことを自分で決めることがどうしてもできなかった。コンピュータの講座で学ぶことが提案されたが、それは彼女は携帯電話さえ操作できなかったからである。大学では全Aで経営学部を抜群の成績で卒業していた。知能指数は平均より高かったのに自分を高めようとする努力はしなかった。夫と息子と友人に全てを頼っていた。女性の友人が一緒に行ってくれると言ったので、コンピュータのコースを受講することにやっと同意した。
精神療法は彼女に時間の使い方を教え、生活の基本技術を教えることに費やされた。彼女は平日にはセットされた時間に起きて、朝食を取り、講義に出て、ジムに行き、ランチかディナーを誰か友人と食べた。働く必要のない羨ましい生活であったが、彼女は自分がどれだけ幸運か理解していなかった。彼女は依然として自分で何かするのは気が進まなかった。自分の能力に自信がなかったのだ。彼女は夫との離婚問題を片付けないうちに別の関係に飛び込みたいと思った。誰か他の人にすぐに支援してもらい子供のように保護して欲しかった。その事から彼女は自分の過剰な依存性に気がついた。
ディスカッション
治療で、患者は、夫がこれまで果たしていた役割りの部分に精神科医を置こうとした。精神科医に大切な決断をしてもらいたかったし、何をすべきか言って欲しかった。医師はその役割りは引き受けず、代わりに、自分で決める試みに導いた。彼女の自信を構築する必要があった。彼女には自分で責任を取る経験が必要だった。彼女の父は彼女が10歳の時に死んだ。父と彼女は仲が良かったので、それは深刻な喪失体験だった。祖母が父の代わりに彼女と母親に指図するようになった。彼女も母親も赤ん坊のように扱われて、自分一人では何もできなかった。
明らかに患者は依存性パーソナリティ障害であり大うつ病であった。
他人が離れていってしまうのではないかと恐れて怒ることができなかった。幼い頃に父親が死んだ時、父親に見捨てられたと感じたように、人にも見捨てられるのではないかと思うと怒ることが怖かった。
夫が去っていった時、それは悲劇的で、新しい考え方や行動を始めることは困難だった。
第24章 クラスターBの治療の手がかり
ポイント
・クラスターBには反社会性、境界性、自己愛性、演技性パーソナリティ障害がある。
・患者は劇的であり、感情的で、常軌を逸している。
・患者は別のクラスターに同時に属することもある。
・クラスターBの場合は転移と逆転移について留意することが強力な治療技法となる。
心底好きになれる境界性患者にはお目にかかったことがない。
-----精神科教授
反社会性パーソナリティ障害は子供時代の素行障害から始まる。患者は大人になり環境も変化するのに症状は改善しない。素行障害のある子供の多くは反社会性パーソナリティ障害に発展することはないのだが、その中で反社会性パーソナリティ障害になる人は、法律を尊重せず、人をだまし、衝動的で攻撃的である。良心の呵責のない点がユニークであり、それが反社会性パーソナリティ障害である。最近の研究ではMRIで前頭前野の形成不全が示されている。反社会性パーソナリティ障害は前頭前野の萎縮があり、扁桃体の機能不全がある。しかしそれでも、時間がたてば、これらの患者も衝動行為は少なくなり、逮捕も少なくなり、詐欺行為も少なくなると信じられている。
キーポイント
研究者は子供時代にまでさかのぼって行為の追跡をしているのだが、やはり境界性パーソナリティ障害の始まりは成人期初期である。
境界性パーソナリティ障害と診断された子供は必ず成長してから成人の境界性パーソナリティ障害になるわけではない。多くの精神科医が認めているように、境界性パーソナリティ障害と反社会性パーソナリティ障害は見かけほど違わない。どちらも衝動的で攻撃的で家庭機能不全がある。境界性パーソナリティ障害は自分を家族の攻撃性の犠牲者と見なす傾向があるのに対して、反社会性パーソナリティ障害は自分が攻撃性を持って加害する人であると見なしている。
自己愛性パーソナリティ障害と演技性パーソナリティ障害に関しては発症時期についての充分なデータがない。自己愛性の人は他人を操作するが犯罪の意図はない。演技性の人は境界性パーソナリティ障害と似ているが衝動性は低く、感情の不安定性は低い。
反社会性パーソナリティ障害の人の多くは仕事も社交もうまくいかない。境界性パーソナリティ障害の人はもっとうまくできる。演技性の人と自己愛性の人は多分さらにもっとうまくできる。しかしこのいずれも、劇的で常軌を逸した外見を呈することで知られている。クラスターAやCの患者と違い、クラスターBの患者は改善の余地がある。
症例スケッチ
たった一回の精神科医の予約の前に、27歳の心理学大学院生患者は、7回に渡り、日時の変更を電話した。それは初診の予約で、医師はその週は別の日は都合がつかなかったので、次の月のいくつかの時間を提示した。「だめです」と彼女は言い、自分は急いでいる、月曜日は変えたくない、時間を変えることはできないかという。医師はもう一度、彼女の希望を叶えることはできないと説明し、次の月を提案した。結局二人は最初の日時で再度予約を決めた。
面接当日、彼女は15分早く到着し、イライラして待合室で歩き回っていた。彼女は心理学の学生であったにもかかわらず、早く現れることは約束に遅れることと同様に意味のあることなのだと理解していなかったようであった。彼女が精神科医と向きあって座るまでに、すでに彼女は激怒していた。思春期に始まった慢性うつ病を語り始め、学部学生の頃の話をして深刻になり、沢山泣いた。精神科医はティシューを差し出し、患者は箱ごとつかんで医師の手から奪い取った。
「今度はあなたが何かふさわしいことをする番じゃないの?」と彼女は言った。
「何か気に入らないことでもありますか」と彼は聞いた。
「あなたは私が望んだ予約を駄目だと言った。随分不親切だわ。」彼女は肩までの黒いストレートヘアをポニーテールにしてクリップで留めていた。そしてまっすぐ立ち上がって、音高く鼻をかんだ。
彼女は有名な心臓病専門医の娘で、たいていの医師に対して皇室並みの特別待遇を期待していた。彼女の父は気むずかしく要求の多い人で彼女の母とはほとんど離婚したようなものだった。母は受け身で非常にかわいらしい女性だった。患者と弟は父親から(肉体的ではないが)情緒的な虐待を受けていた。彼女が結論したところでは、彼女は全Aの学生ですばらしいテニス選手、熟達したピアニストであったにもかかわらず、父親のせいで大きな無力感にさいなまれていた。
彼女は初診の時、人生で二度目のうつ病エピソードのさなかだったが、再度抗うつ薬を使うことは希望しなかった(以前はパキシルを使った)。彼女はある男性と長いがまだ決定していない関係の最終局面にいて、性的機能不全を回避したいと思ったのが理由だった。
不眠がちで、明け方のパニック障害で目が覚めた。15ポンド痩せてイライラ、不安、メランコリーを毎日感じた。精神科医はレクサプロ10mgを提案し、処方した。面接の終わりに、最初に予約を決めた時の同意にしたがって精神科医は彼女に支払いを要請した。彼女は父親に請求書を送るように言った。医師は彼女に今後の治療の合意事項を確認し、今回は父親に請求書を送るが、次からはそのたびごとに彼女自身が支払うように求めた。
次の約束は次週だったが、再び何度も医師に電話をした。精神科医は彼女が不満を述べた問題のすべてについて再度説明して安心させようとした。しかしついには父親が電話してきて精神科医に請求を減額するように頼んだ。彼の娘はそれほど「特別」だというのだった。精神科医は「ノー」と答えた。患者は予約を取り直しに電話することもなかったし、二度目の診察に訪れることもなかった。
ディスカッション
この患者は二つのクラスターB障害を持っている。境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害である。
彼女にはまた大うつ病とパニック障害があり、そちらの方が治療しやすかった。このケースでは治療の最初から医師に対して過度に要求がましい態度があった。尊大に、彼女は自分の都合に合わせて診察してほしいと言った。医師に一度も会ったことがないにもかかわらず、彼女は見捨てられることを恐れた。どこまで尊大にしたら見捨てられるか試すような態度だった。もし彼女が医師に対して、予定時間よりも早く会うようにしむけることができたなら、医師が彼女に対して融通を利かせてくれて「特別」扱いをしてくれることが証明されるだろう。他の人にとっては明らかなことだが、このことは不安定で強烈な対人関係を開始したことを意味するだろう。なぜなら、この「特別」扱いしろという、言葉にされていないが、不合理な要求は誰も完全に満たすことができないからである。彼女の願いに従わなかったので医師は即座に彼女の心の中で脱価値化され贔屓してくれないダメな人とみなされた。将来、医師が彼女の願いを聞き入れたら、即座に素晴らしい人と理想化されるだろう。これが境界性で典型的である。
彼女は自分で決めて早く到着して待っていたにもかかわらず、時間通りに始めた医師に腹を立てた。彼女の感情は不安定で自分を無力だと何度も思ったはずだ。なぜ自分を尊重しないのか、自分が早く来たのになぜそれを賞賛しないか。そしてなぜ特別の配慮をしないか。最初は彼女は賞賛を期待して早く来たのではないし、早く来たからといって当然早く始めて欲しいとも思わなかっただろう。しかし待っている間に脳の回路が暴走をはじめる。なぜ私はこんなにも無視されて虐待されて軽んじられるのかと怒りがこみ上げる。自己愛性の人は時にこのような感じる。特に同時に境界性パーソナリティ障害を持っている場合にはそうだ。自己愛性の憤怒である。
医師は自分の扱っているのがどんな患者であるかを非常に素早く理解した。時間、場所、料金について堅い限界設定で臨まなければならないとよく知っていた。医師は最初の予約時間と料金契約を維持しようと努めた。驚くことではないが、患者はこの限界設定を破ろうとした。破ることができないと悟ると父親を登場させ、父親は何も知らずにいざこざに巻き込まれる。
患者はあえて意識的に限界設定を突破しようとするのではないし、あえて意識して医師に困難を突きつけているのでもない。彼女の行動は無意識的に動機づけられたものだ。もし尋ねられたら、彼女は、世界は敵意に満ちていて、私はいつでも見捨てられ、私は尊重される特権が与えられていると語ったことだろう。
彼女はまた投影性同一視を呈していて、それは境界性パーソナリティ障害の人が自分の中の望まない側面を他人に投影し、その上でその人に対して行動化するというような防衛である。
精神科医はこうしたクラスターBの行動化にいらいらして怒りを感じる。医師は常に自分の逆転移感情をモニターすることを忘れないでいるべきだ。逆転移感情は強烈で否定的になることがある(陰性逆転移)。多くの場合、治療者は自分を守り、健全な治療を進めるために、スーパービジョンを用意するか、自分なりの有効なクラスターBの治療法を用意するかしなければならない。