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統合失調症生活指導における薬剤と作業負荷量の調整についてモデルと方針

統合失調症生活指導における薬剤と作業負荷量の調整についてモデルと方針


設問 統合失調症デイケアにおける薬剤と作業負荷量の調整についてモデルと方針を示せ


1.前提として、次のような統合失調症の病態を仮定する。それ以外の病態もあると思うので、それはまた別とする。


患者はもともと中脳辺縁系のドーパミン系システムに異常があり、幼少の頃から、ドーパミン放出量が過少であり、その結果、ドーパミンレセプターのアップレギュレーションが起こり、ドーパミンに対する過敏性を呈する。


そのような子供は孤独を好み、過剰な刺激から身を守り、静かに暮らしたいと志向する。

思春期まではそれでいいが、思春期になり、異性探索行動を始めると、突然ドーパミン過剰になる。

レセプターが増えていることもあり、smapg-time-delay-modelでいう、12.の経路が過剰に反応することになる。

自意識からよりも先に、自動機械からの反応が届くので、させられ体験、幻聴などを主とする、自我障害を経験することになる。

D2遮断剤により治療を開始すれば、増えていたレセプターはフタをされ、取りあえずは、ドーパミン系の量の調整ができて、症状は消えて正常に復する。


しかしこのときも個人の傾向として、依然として基底としてはドーパミンが不足の傾向にあるので、それを補償するためにレセプターのアップレギュレーションが生じる。

つまり、もともとレセプターが多かったものを、一部マスクしたら、レセプターがもっと増えてしまったということになる。

これはこれで一種の平衡状態と考えられるのであるが、

ここでまたさらに恋愛体験や新しい環境や友情などがあったとき、

つまり金、欲、メンツ、健康などの問題があったとき、

ドーパミンは容易に増加し、ここでまた華々しい陽性症状を呈することになる。


このように説明してくると、D2ブロッカーの使用は、レセプターを一時的に遮断して有効ではあるけれども、

長期的に見れば、レセプターをどんどん増加させる結果になっている。

だんだん薬が増えてしまういというのはこうした事情である。


増えた分のレセプターをふさぐために薬剤をさらに増量することが必要になる。

もともとレセプターがたとえば10あったところに薬をいれて3つのレセプターをマスクすれば、

有効レセプターは7になる。

生体は「これではいつものわたしではない、落ち着かない、

ドーパミンが不足だ、レセプターを10にして感度を上げたい」と思うので、

レセプターを新しく3つ増やす。

すると合計13となり、そのうち3個は薬剤でマスクされていて、有効なレセプターは10となる。

しかしこの状態では再びライフ・イベントがあって、ドパミンが急増したときには、

陽性症状が出てしまう。そのときは薬剤を増量して、生きている10のレセプターのうち3つをマスクして、7つにする。

一応状態の悪い時を脱すると、生体は有効7のレセプターでは不足と思うので、

新しく3つ追加して10に増やす。

この時点で合計16、有効10、マスク6である。

これでも、何かあったら過敏になっている。

コンブライアンス不良で薬をやめてしまったら、マスクしていた分の6が有効になるので、

16のレセプターが大きな刺激にさらされ、さらに華々しい陽性症状を呈する。

するとまた薬をいれて、マスクされるレセプターは増えて、全体レセプター量は増える。

以下同じ。


さてこの場合の対策は、実は、症状を抑えることではなくて、

レセプターを減らすことである。

もともと10であったレセプターを7に減らすことができれば、薬剤でマスクしなくてもよくなる。

レセプター7つでは、この人は活動が少ないので、ドーパミンの量とレセプターの量がマッチしないのだが、

ここでレセプター10に増やしてしまわないで、

レセプターは7で、ドーパミンを増やす生活を定着させればいい。

これが根本治療になるはずだ。


それには薬剤とタイミングを合わせて、デイケアまたは生活指導での負荷量を調整する必要がある。

薬剤でレセプターコントロール、

活動負荷でドーパミン量をコントロールする。


薬剤でレセプターをマスクして有効レセプターを減らすのではなく、

ドーパミンをふやした状態を継続して、

ダウンレギュレーションにより、

全体のレセプターを減らす。

そのためには

(1)過剰にレセプターをマスクしないこと。

(2)適度なドーパミン放出を維持する事。

しかしこれは刺激が大きすぎれば再発再燃につながるので細心の注意が必要である。


*****

繰り返しになるが説明する。


D2ブロッカーを使っている限り、レセプターは増える。

レセプターを減らす方法は、ドーパミンを少し多めにしてレゼプターのダウンレギュレーションを起こすことである。

つまり、薬剤を減量して、アクティブなレセプターを増やしておいて、

そこに日常活動により放出されたドーパミンがやや多めに出るようにして、

ダウンレギュレーションを狙う。


ドーパミンが多すぎれば陽性症状になってしまう、したがってそうならない範囲で調整する。

イメージとしては、薬を減らして、いまふさがっているレセプターの一個だけを薬の覆いをはがしてもらい、

その状態で活動を工夫し、ドパミンを増やし、覆いをはがした分の一個のドーパミンレセプターを消滅させる。

これを繰り返し、レセプター全量を減らす。


これを無防備に配慮なく行なうと、

薬を減らして、ドーパミン刺激を多くしているわけで、当然再発の危機がある。

しかし薬剤の適量を見定めた上で、

段階的に薬剤を減らし、ドーパミン負荷量を次第にあげ、

次第に全レセプターを減少させ、

ドーパミン対する過敏性がなくなったら、完治である。


薬剤調整と連動した生活指導は、このような理屈で行うのがひとつの方向である。


*****

要約すると、薬剤を減少させ、ドーパミンレセプターを1個だけ裸にし、

生活コントロールすることによりドーパミンを少しだけ増やし、

レセプター1個分のダウンレギュレーションを実現する。


これを繰り返し、ドーパミンレセプターを正常量まで戻す。


その途中で、幻覚妄想再燃の危険があるので慎重に行う


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