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積極的リラクゼーション・テクニック

積極的リラクゼーション・テクニック

わたしの体験・自律訓練法との出会い

ある実習コースで、自律訓練法を教えてもらいました。それまで存在と理論は知っていましたが、自分から身につけようという考えはありませんでした。一回経験してみたら、なるほどいいかもしれないと思ったものです。しばらくは自分でトレーニングしたりはしなかったのですが、その後わたしも人並みにストレスに直面しました。そのときに自律訓練法でかなり救われました。合う人と合わない人がいるようですが、わたしの場合は合っていたと思うわけです。自分にそのような体験があるので、多分この人には向くだろうなと思う人にはお勧めしています。

積極的リラクゼーションとは

リラックスしている状態といえば、寝ている状態や横になってテレビを眺めている場面を思い浮かべるでしょう。それも大切な時間です。しかし積極的リラクゼーションはそれとは違う、「もっとリラクゼーション」の状態を指します。聞いた話では、日本の古武道の構えは、なるべく脱力してどこにも余分な力をかけず、さまざまな攻撃に瞬時に対応できるようにするものだそうです。積極的筋肉弛緩状態ということで、類似点があるかもしれません。
 コムボールでたとえてみましょう。軟式テニスのボールを考えて下さい。
  • ストレス状態とはボールが凹んでいる状態です。回復しようとするのですが、凹まされています。軟式ボールというよりは、アルミ缶ですね。元に戻りません。
  • 寝ている時は凹みがない状態で、これはストレスのない状態です。凹みはなくてまん丸です。
  • リラクゼーション状態は少々のことでは凹まない、凹んでもすぐに元に戻る、復元力の高まった状態です。まん丸ですが、もっと生き生きしている感じです。赤ちゃんの肌みたいです。

筋弛緩訓練。筋肉から脳へ。

E・ジェイコブソンは全身の筋肉を順番にゆるめていく方法、つまり筋弛緩法を開発しました。東洋のヨーガや瞑想では、目的としては精神的解脱や悟りのためなのですが、身体的には「筋肉の緩んだ状態」を実現していたことが分かっています。結果として積極的筋肉弛緩状態、つまり積極的リラクゼーションを実現していました。
 人間はストレス・不安・緊張時には筋肉が緊張します。呼吸が浅くなり速くなります。脈拍が速くなります。それならば、この逆をやって、筋肉を緊張から解き放ち、ゆるめれば、呼吸をゆっくり深くすれば、脳の働きを変化させることができるのではないかと考えました。心臓の脈拍については一般の人はコントロールできませんが、達人はできるようです。身体を変化させれば、脳が変化します。脳が変化すれば、自律神経系、内分泌系、免疫系を介して、全身に変化が起こります。
 自律訓練法などで筋弛緩・呼吸トレーニングをすれば、緊張緩和、疲労感減少、爽快感増大、ストレス耐性増強、交感神経抑制、副交感神経賦活、免疫能増大が起こります。しかも副作用は全くないのです。

トレーニングの時間

一回のトレーニングの時間による効果の違いが分かっています。
  • 3分から5分のトレーニングでは緩む方向。(リラクゼーション)
  • 10分から20分では元気が出てくる。頭の中がすっきりしてエネルギーがわいてくる。(アクティべーション)
このような違いがあります。また、一回短期効果と反復長期効果も異なることが分かっています。わたしたちの目的は、反復長期効果を実現することです。毎日続けてトレーニングするとストレスに強くなり、血圧が安定し、体質改善につながります。

具体的な方法

具体的な方法は次のようです。短く言うと、「身体の形をを整え、呼吸を整え、心を整える」ことです。古い言葉では「調身、調息、調心」と言います。
  • 正しく座る。どこにも余分な力が入っていない。
  • ゆっくりと、規則的に、吐く息を長く、呼吸を整える。
  • 言葉、文章、祈り、筋肉運動の繰り返しなどに心を集中する。
  • 雑念が浮かんできたらそのままやり過ごし、再び繰り返しの作業にもどり心を集中する。
これだけです。 自律訓練法では、呼吸を緩やかにしながら、心の焦点を、「両手が重い」「両手が熱い」などと順次変更していきます。段階がいくつもあるのですが、それは上級編で、初級者は熱感までで充分ではないでしょうか。自律訓練法では解除作業も大切です。

もっと簡便な方法・呼吸集中法

自律訓練法は誰かに教えてもらわないと難しいかもしれません。ここでは自分で簡単にできる簡便な方法をお伝えします。やはり「調身、調息、調心」が基本です。
  • 横になるか、椅子に腰掛けます。楽な姿勢にして、体のどこにも余分な力が入っていない状態にします。余分な力を入れないということは、正しい自然な姿勢になるということです。海辺か森の中か、自分のリラックスできる情景をイメージして下さい。
  • ゆったりと腹式呼吸をします。深呼吸ほど深くはなく。とてもゆっくりと。
  • 息を吸って、吐いて、吐く息を長めに、これで一回と数えます。10まで数えたら1に戻り、続けます。
  • どんどん呼吸だけに集中します。驚くくらい無念無想になります。
雑念が浮かぶけれど、放っておいて、また呼吸に心を集中させましょう。どんどん呼吸だけに集中できるようになります。呼吸している自分だけが存在するようになります。一日一回、10分間、行いましょう。3ヶ月から4ヶ月して、自分の心が平静であることに気付くでしょう。ストレスを感じた時にも、10分間だけこの呼吸法を行うことで、クールに対応できるようになります。自動車を停めて、少しのあいだ。電車に乗りながら少しの時間。睡眠前の10分間。自分なりに時間を決めて習慣化すればよいでしょう。
 効果が実感できたら、周りの人に教えてあげましょう。心の平和な人が増えることは誰にとってもよいことだと思います。

合わない人

自律訓練法はわたしたちの経験では、非暗示性の高い人には合いません。過呼吸に傾きがちの人も合いません。簡便な「呼吸集中法」は特に問題ないと思います。トレーニング中に次々に妄想がわいてきて圧倒される人は中止して下さい。
参考「リラクゼーション反応」ハーバート・ベンソン著、中尾、熊野、久保木訳、星和書店2001年


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