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なつかしい『なつかしの庭』

韓国映画

感想があったので採録。確かにこんな感じだとなつかしく思う

10年くらい前に図書館で借りて翻訳の小説を読んだ

そのあと、自分で持っていたくて本を購入した

あれから10年たったのか


小説の出だしの部分など印象的で好きでした

展開もしっとりしていていい

おおむね憂うつで重苦しい話です


レンタルで使っていたDVDが250円、送料が800円だそうです

ちらっと見たが男優、女優ともいいと思う

私は小説のほうが好きだ
いまでも背表紙を見るだけで切ない

それは私の10年前の思い出とともにあるからだろう

世間ではそんなに評判の高い小説ではない

同じ作者の小説を何冊か集めてみたが読書はあまりはかどらなかった


同じころに見た映画で北からの亡命者男性が描かれている、ひたすら暗くて重い話があった

タイトルが思い出せない


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どれだけ時が経とうが決して消ない記憶や願いがあるという主題を見る者に強く印象づけました。
光州事件をバックグランドにするストーリーにやや強引さがあっても、ひとつの恋愛のあり様を軸にしっかり描いています。
やるせない悲しみや不安感、はかない想い。そういった不安定な感情が全編にわたって敷きつめられています。

チ・ジニ、ヨム・ジョンアは共に遅咲きの俳優らしく、互いをいつくしむ感情が込められたおちつきある演技が光りました。
とりわけヨム・ジョンアは、熱い感情を内に秘め、時には抑えきれない気持ちを彼に激しくぶつける女性・ユニを飾らず気どらず真っ直ぐに表現していて好感が持てました。
チ・ジニにしても空虚から希望へと移りゆく姿をさわやかに、ていねいに演じていました。

映画に、こと細かにつじつまが合う説明調の分かりやすい筋書きとわくわく、どきどきした気持ちを期待したり、韓国モノに華やかさと爽快感、あるいは大粒の涙があふれる悲恋を求めるのはごく自然なことです。
そういった多数の方には期待に沿わない展開だったと思います。
この映画は繊細で切なく、長い歳月にわたり互いを想い続ける主人公たちの恋物語が、夜更けに読む恋愛小説のページをめくるように静かにすすんでいきます。

思い出の場所で見つけたノートから彼女の痕跡をたどる現在とフラッシュバックが並行する果てに、二人のなつかしい庭を心のやすらぎの中に見つけます。
男性主人公・ヒョヌの喪失感で始まったドラマはノートに残されたユニの17年間をたどり、最後にある女性と出会って自分自身が再生へと向かう余韻を引いて終わりを迎えます。
心に響く、とてもよい映画でした。

エンドロールに流れる曲の和訳に「青春というものは大きな心の糧、臆することなく胸をはろう」と、ありました。
同感です。

追記
この映画の背景となった時代は、軍部を核とした中央での巨大な権力闘争や光州事件に代表される民主化運動、労働運動、そして弾圧があったことは、今となっては歴史的な常識として誰もが知っています。
これらを比較的平和に慣れた日本人の感覚として受け入れがたくても、事実としていくらかは理解しようという姿勢をもって韓国現代史に関わる映画に臨みたいものです。

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