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体細胞の分化状態の記憶を消去し初期化する原理を発見 -細胞外刺激による細胞ストレスが高効率に万能細胞を誘導-STAP細胞

http://www.riken.jp/pr/press/2014/20140130_1/

 理化学研究所の小保方晴子(おぼかた・はるこ)研究ユニットリーダーの記者会見での一問一答は次の通り。

 ―研究の成果は。

 新たな生物学的メカニズムを発見した。制御できれば、体内で臓器を再生したり、がんを抑制したりできる技術に結び付く可能性がある。STAP細胞は、成長した細胞が赤ちゃん細胞になるようなものなので(人間で)夢の若返りが実現できるかもしれない。

 ―ES細胞、iPS細胞との違いは。

 細胞の核に人工的に手を加えるiPS細胞とは違い、STAP細胞は周りの環境の変化だけで自然に両細胞と同等以上の多能性を獲得している。胎盤に変化する能力も持っている。

 ―酸性の溶液を細胞に刺激を与える方法として選んだ理由は。

 栄養を与えず細胞を飢えさせたり、熱による刺激を与えたり、思いつく限りの条件を試した。その中で酸性の溶液を使うと最も効率良くSTAP細胞を作れた。

 ―研究の過程で難しかったことは。

 誰も信じてくれないので、人を説得できるデータを取るのが難しく、試行錯誤を繰り返した。

 ―再生医療への応用の可能性は。

 まだ生まれたてのマウスで成功したという非常に限定的な成果。特定の応用だけを考えるのではなく、数十年~100年後の社会への貢献を意識して研究したい。

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 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市中央区)で、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を超えるかもしれない画期的な発見を成し遂げたのは、大学院を修了してまだ3年の若手研究者だった。同センターで開かれた記者会見で、万能細胞「刺激惹起性多能性獲得細胞(STAP細胞)」を開発した小保方晴子研究ユニットリーダー(30)は「かつては研究結果を誰にも信じてもらえず、泣き明かした夜も数知れない」と振り返り、誇らしげに成果を語った。

 STAP細胞は、体の細胞に酸性の溶液で刺激を与えるだけで作れる。「動物の細胞は外からの刺激だけで万能細胞にならない」という通説から、「研究が『これまでの生物学をばかにしている』とさえ言われたこともある。『あした1日だけ頑張ろう』と思いながら、5年かけてここまで来た」と小保方リーダー。会見場には約60人の報道陣が詰め掛け、生物学の教科書を塗り替える大発見に対し、予定を大幅に超える2時間以上にわたって質問が続いた。

 小保方リーダーは早稲田大では化学を専攻したが、大学院からは「細胞の研究で人の役に立てるなら」と再生医療の研究に転身。現在の上司に当たる笹井芳樹副センター長(51)は「化学系出身らしく、先入観なくデータを重視する視点が、生物学の通説にとらわれない姿勢につながった」とみる。

 今回の研究のアイデアは、大学院博士課程時代に留学した米ハーバード大医学部の教授らとの議論を通して生まれた。体細胞を圧迫したり、穴を開けたり、栄養を与えなくしたり…。考えられる限りの刺激を細胞に与え、「偶然に」(小保方リーダー)酸性の溶液にたどり着いた。

 iPS細胞をはじめとする従来の万能細胞は、細胞の中で遺伝情報が集まっている核を操作する必要があったが、STAP細胞は全く違った作製方法だ。

 「植物のほか、動物の中でもイモリは傷つけるなど外からの刺激を与えれば、万能細胞化して再生する。ヒトを含めた哺乳類でも同様のことが考えられないか」。小保方リーダーの素朴だが根源的な問いが、批判に負けない自身の探求心によって実を結んだ。

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 生物学の常識を覆す発見を世界に先駆けて公表したのは、30歳の日本人女性が率いる国際研究チームだった。

 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の小保方(おぼかた)晴子さんが研究を着想してから6年。意表を突く簡単な手法で様々な組織に変化できる「STAP細胞」を作ったとの論文は当初、一流科学誌から「信じられない」と掲載を拒否されたが、日本のベテラン研究陣の後押しが成功に導いた。

 小保方さんは早稲田大理工学部を2006年に卒業後、高校時代から憧れていた再生医学の研究を開始。この年、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を作製したと発表した山中伸弥・京都大教授の講演を聞き、研究に打ち込む決意を強めた。刺激で細胞を変化させるという今回の成果につながるアイデアが浮かんだのは08年に留学していた米ハーバード大でのことだった。

 実験で極細のガラス管にマウスの細胞を通すと、予想より多い幹細胞ができた。「狭い場所を通る刺激がきっかけになったのではないか」と発想を転換して研究を続けた。

 しかし、米国の専門家にも共同研究を持ちかけても、実績のない若手は相手にされない。救いの手を差し伸べたのは10年、センターで研究中の若山照彦・現山梨大教授(46)だった。世界初のクローンマウスを作った若山さんは、突然訪ねてきた小保方さんの協力依頼に「最初は信じられなかったが、僕が証明できれば米国に勝てると思った」と応じた。

 毒素を使ったり、細胞に栄養を与えず飢餓状態にしたり……。11年にセンター客員研究員になった小保方さんは実験を続け、その年の冬、若山さんと、STAP細胞からできた細胞を持つマウスを誕生させた。

 権威ある科学誌ネイチャーに論文を投稿したが、掲載は却下され、審査した研究者からは「細胞生物学の歴史を愚弄している」という趣旨のメールも届いた。肩を落とす小保方さんを、幹細胞研究の第一人者である笹井芳樹・副センター長(51)らが支援。データを解析し直し昨年3月、論文を再投稿。掲載が決まった。

 研究室のスタッフ5人は全員女性。研究室の壁はピンクや黄色で、好きなムーミンのキャラクターシールも貼っている。仕事着は白衣ではなく、大学院時代に祖母からもらったかっぽう着。「これを着ると家族に応援してもらっているように感じる」という。

 理系の女子学生や女性研究者を指す「リケジョ」が注目される中で飛び出した成果。日本分子生物学会理事長の大隅典子・東北大教授(53)は「発生生物学は多くの女性研究者が活躍してきた分野。若手が見つけた小さな芽を、周囲のサポートで結実させた点もすばらしい」と喜んだ。

 これから世界で激しい競争が予想される。「プレッシャーを感じるが、10年後、100年後の人類社会への貢献を意識して、一歩一歩進みたい」と決意を話した。

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というわけで賞賛の嵐である

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 細胞を弱酸性の溶液に浸すだけで、受精卵のような「万能細胞」が簡単にできる――。理化学研究所などのチームが見つけた「刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得細胞」(STAP細胞)は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)や胚性幹細胞(ES細胞)が抱える課題をもクリアし、再生医療の将来を塗り替える潜在力を秘める。専門家が「iPS細胞を知った時以上のショック」と驚く万能細胞。常識破りの発見の陰には、5年にわたる試行錯誤と、経験を積んだ日本人研究者たちの支援があった。【須田桃子、八田浩輔】

 ◇ヒト研究これから 再生医療、膨らむ期待

 「細胞にストレスを与えるだけで、万能性を得られるとは。iPS細胞、いやそれ以上のショックだ」。iPS細胞を使った血液の再生などに取り組む中内啓光(ひろみつ)・東京大教授は驚きを隠さない。iPS細胞研究に携わる本多新(あらた)・宮崎大准教授も「驚きを通り越してあきれてしまうくらいのすごい成果だ」と話す。

 今回の報告はマウスの実験結果のため、専門家の間では、ヒトの体細胞でも同様に作製できるかどうかが、研究の発展の試金石となるという指摘もある。初期化が起きる仕組みや、なぜ弱酸性の溶液に浸すと効率が高いのかなどの解明もこれからだ。多田高・京都大准教授は「ヒトでも作製できれば、医療応用にも役立つポストiPS細胞になるかもしれない」と話す。

 STAP細胞は、iPS細胞やES細胞では不可能な胎盤の細胞にも変化するなど、受精卵により近い万能性を持つことが分かった。目的の細胞を作りやすくなると期待される。

 iPS細胞は遺伝子などを導入して作製されるため、染色体が傷ついてがん化する危険性があることが大きな課題だった。一方、STAP細胞は染色体に傷がついていないことが確認され、マウスに移植してもがん化しなかった。iPS細胞より極めて安全性が高いとみられる。STAP細胞自体はiPS細胞やES細胞のように無限に増える力は持たないが、研究チームは培養条件の工夫によって、増殖能力を持つ幹細胞を作ることにも成功した。

 研究チームの笹井芳樹・理研発生・再生科学総合研究センター副センター長は「動物の体細胞が自発的に初期化する仕組みを持つことが確認されたことは、生物学の常識を覆す結果」と説明する。

 さらに「弱酸性の溶液に30分つけるだけ」という手法は、「学生の実習でもSTAP細胞を作れるかもしれない」(本多准教授)ほど簡便で、特別な材料や技術を必要としないことも、研究の加速につながりそうだ。理研の小倉淳郎(あつお)室長は「今後、全世界でiPS細胞並みの激しい競争になるだろう」と推測する。

 ◇投稿、当初は「却下」 複数の科学誌「信じられない」

 「最初は誰も信じてくれず、やめてやると何度も思い、泣き明かした夜も数知れない」。理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の小保方(おぼかた)晴子(はるこ)・研究ユニットリーダー(30)は28日の記者会見で話した。2009年ごろから、複数の一流科学誌に論文を投稿したが、誰も思いつかない意外な成果は「信じられない」と却下され続けた。今回、論文が掲載された英の一流科学誌「ネイチャー」にも12年4月に投稿したが却下。論文を審査するレフェリー(査読者)から「あなたは細胞生物学の歴史を愚弄(ぐろう)している」とまで酷評された。

 小保方さんが成果の糸口をつかんだのは08年、米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授の研究室に留学したときだ。バカンティ教授は当時、体内に元々、さまざまな組織や臓器になれる多能性幹細胞が存在すると信じていた。小保方さんは教授の指導のもと、極細のガラス管にマウスのさまざまな種類の細胞の塊を通す実験に取り組んだ。

 その実験で、ガラス管を通せば通すほど、多能性の特徴を示す細胞が増えることに気付いた。「細胞に外部から刺激を与えたことで、新たに多能性細胞ができているのではないか」。それまでの発想を転換し、栄養を与えなかったり、高温下に置いたりするなど、過酷な環境に細胞を置いてみた。その中で、最も効率が良かったのが弱酸性の溶液に浸す手法だった。バカンティ教授は毎日新聞の取材に、「ハルコ(小保方さん)はライジングスター(新星)だ」と手放しで評価する。

 STAP細胞の証明は、国内の第一人者たちが支えた。世界初のクローンマウスの作製で知られる若山照彦・山梨大教授もその一人。STAP細胞の多能性を確認するため、受精卵に注入してSTAP細胞由来の細胞が全身に散らばったマウス(キメラマウス)を作る実験に協力。想定通りのキメラマウスが生まれたことで、STAP細胞の能力が証明された。若山さんは「あり得ないことが起きたと思った」と話す。

 研究チームは、より説得力のある実験データを集めて1年後に再び投稿、ネイチャーからの追加実験の要求にも応えた。小保方さんは「幹細胞研究のプロフェッショナルの助言をもらえたお陰」と振り返る。

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こんなことがあるものなのか
すごい


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