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PKU(フェニルケトン尿症)治療薬を自閉症に転用 Repurposing a PKU Drug for Autism テトラヒドロビオプテリンの合成製剤は一酸化窒素(NO)経路を介して自閉症の中核症状を改善すると思われる。 いくつかの二重盲検プラセボ対照試験および数多くの非盲検試験において、テトラヒドロビオプテリン(BH4)は幼児(5歳以下)における自閉症スペクトラム障害(ASD)の中核症状に対して有益な効果を示すことが報告されている(Front Neurosci 2010 Jul; 4:52)。BH

PKU(フェニルケトン尿症)治療薬を自閉症に転用
Repurposing a PKU Drug for Autism

テトラヒドロビオプテリンの合成製剤は一酸化窒素(NO)経路を介して自閉症の中核症状を改善すると思われる。

いくつかの二重盲検プラセボ対照試験および数多くの非盲検試験において、テトラヒドロビオプテリン(BH4)は幼児(5歳以下)における自閉症スペクトラム障害(ASD)の中核症状に対して有益な効果を示すことが報告されている(Front Neurosci 2010 Jul; 4:52)。BH4は主要神経伝達物質の産生における補因子であり、一酸化窒素(NO)経路に必須であるが、ASDにおけるBH4の作用機序は不明である。

研究者が試験計画を立案し、企業が資金を提供した本試験において、Fryeらは、てんかん発作を伴わない10例のASD児(年齢2~6歳)に対してBH4の合成製剤であるサプロプテリンを投与し、BH4代謝経路および臨床効果との関連を検討した。BH4の用量は米国食品医薬品局(FDA)が2歳以上のフェニルケトン尿症児に承認している20mg/kgであった。脳脊髄液(CSF)中のBH4高値(30nMより高値)はてんかん発作との関連が知られていることから、(選択基準の1つとして)試験開始時のBH4値は30nM以下とされた。複数の面接法および観察による指標を用いた検査が試験開始時、治療開始後8週目、16週目に実施された。評価者は追跡中の観察評価を盲検下で行った。

サプロプテリンは中核症状の有意な改善と関連しており、主要評価項目の言語能力および副次的評価項目のコミュニケーションおよび対人関係の両方で有意な改善が認められた。試験開始時のNO活性(アルギニン/シトルリン比として測定)高値は良好な治療反応性の予測因子であった。

コメント
これらの結果は、ASD患者におけるアミノ酸経路の異常、NO遺伝子多型、CSF中BH4低値といったエビデンスと矛盾がない(Neurotherapeutics 2010; 7:241)。サプロプテリンはすでに安全性が検証されており、FDAがフェニルケトン尿症の適応で承認している薬剤であるから、本剤をASDに転用することは臨床的に妥当である(JW Psychiatry Mar 4 2013参照)。幼児自閉症患者を治療している医師は、潜在的な長期有害作用に関する縦断的追跡データが不足していることを強調したうえで、主に神経発達過程で有用な薬剤としての合理的な根拠があることを説明し、患者の両親とBH4の使用について話し合ってもよいと思われる。


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