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アスリートが経験する脳震盪はうつ病リスクを増加させる

アスリートの多くが経験する脳震盪。脳震盪は、頭部に激しい衝撃を受けた直後に起こる一過性の脳障害で、めまいや頭痛、意識喪失などが短期的に発現する。中等度以上の脳震盪では、脳が損傷を受ける可能性も高く、障害が残ったり、死亡に至るケースもある。Kerr氏らは、脳震盪が将来のうつ病発症の独立した危険因子であることを、Am J Sports Med誌オンライン版2012年8月24日号で報告した。

 NFL (アメリカ・プロフットボールリーグ)を引退した選手を対象とした前向きコホート研究。2001年の一般健康調査(GHS)をベースラインとし、2010年までフォローアップを行った。調査項目は、人口統計情報、選手生活で経験した脳震盪、身体的・精神的な健康状態、各種疾患の有病率。身体的健康状態は健康関連QOL評価尺度(SF-36 PCS)にて評価した。2010年に自己申告した脳震盪の経験により、5つのカテゴリー(経験なし、1~2回、3~4回、5~9回、10回以上)に層別化を行った。主要評価項目は、ベースラインからフォローアップまでのうつ病診断とし、単純暴露因子の結果に対するリスク比を算出した。分析には、ポアソン回帰分析および推定補正リスク比のばらつきにロバスト分散を用いた。脳震盪と9年間のうつ病リスクの関係や傾向はカイ二乗検定により分析した。

主な結果は以下のとおり。

・ベースラインとフォローアップのGHSデータが得られた1,044名のうち、期間中にうつ病と診断されたのは106名(10.2%)であった。
・少なくとも1回以上の脳震盪を経験したと自己報告した選手は65%であった。
・9年間のうつ病発症リスクは脳震盪の経験回数と相関していた(経験なし:3.0%、10回以上:26.8% [線形トレンド:p<0.001])。
・交絡因子(引退した年、2011年のSF-36 PCS)で調整後でも、反応関係性は強固であった。
・引退時点でうつ病と診断されていた選手では、診断前のSF-36 PCSがより低かった。
・脳震盪はうつ病発症の独立した危険因子である。脳震盪とうつ病の関係は、身体的健康状態の低下とうつ病の関係とは無関係であった。


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