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内因性うつ病と神経症性うつ病

昔の話ではあるが
内因性うつ病と神経症性うつ病の鑑別を考えようと言われていた時期があった
いまでも役に立つ話と思うので
書いておきたい

内因性うつ病は当時は精神病と認定されていて
了解不可能な妄想を伴ったりなど
現実把握に関しての障害があるもの

神経症性うつ病は精神病レベルではなく神経症レベルで
現実把握力(reality testing)は保持されている
疾病利得がある場合もあり
症状の成立は了解可能である

内因性うつ病と神経症性うつ病を両極に立てるとして
そのほかの言葉としては 性格因性うつ病とか反応性うつ病とか
成立すると思う
どこまでが環境要因でどこまでが性格要因かは判別が難しいし
それらのどこからが疾病で、どこからが疾病ではないのかの判別も困難である

DSMやICDで何か言えるなどと言うことはない
根本的には疾病概念の問題で
医学的疾病概念としていえば機能障害を説明する形態変化が確認されるときに
疾病と呼ぶというのが伝統的な説明である
形態異常を直接に検知できないときは
血液検査や生化学検査などが代用されることもあるが
その場合も、便宜的に数値で表現しているだけで
その変化に相当する形態的変化があることが仮定されているわけだ

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問題は内因性うつ病と診断された人も
治療が長くなったり
いろいろな対人関係が発生したり
経済的事情が難しくなったりすると
人間なので当然環境との反応は発生する

内因性うつ病の人の性格素因がどうであるかは様々であるし
環境とかエピソードも様々で
中には了解可能で、時に疾病利得が理解できるような例があり
その場合には
部分的には内因性うつ病であり、その他の部分は神経症性うつ病であると
理解できることになる

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治療の原則としては
休息を取ってもらい、睡眠と食欲を整え、場合によっては薬剤も投与する、
疾病に対しての患者教育が根本となる

内因性うつ病の場合には抗うつ剤や気分安定薬を用いるし
神経症性うつ病の場合には精神療法を施行する

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このような見取り図で言えば
認知行動療法はどのあたりに位置づけられるのか
興味深い

患者教育の側面では内因性、神経症性に共通であるが
内因性うつ病の患者に特有の認知特性があるのかどうかは問題があり
それは神経症性うつ病の場合に発生している認知特性ではないかとの
問題もある



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